前十字靭帯損傷|神戸三宮の運動療法施設【ライフロング】

前十字靭帯のリハビリを受ける男性

膝の靭帯である前十字靭帯の損傷はスポーツで起こる怪我の中で最も深刻な怪我とも言えます。

前十字靭帯を正しく治療し、再びスポーツに復帰するためには正しいだけでなく、最新の情報を知ることが大切です。

この記事では前十字靭帯を損傷してしまう原因正しい治療とリハビリ、そして再発予防について最新医学に基づいた情報をお届けします。

前十字靭帯とは?

そもそも前十字靭帯とはどのような靭帯で何の役割があるのでしょうか?

膝の構造

前十字靭帯が膝の靭帯ということはご存知だと思いますが、膝には全部で4つの大きな靭帯があります。

  • 前十字靭帯(ACL)
  • 後十字靭帯(PCL)
  • 内側側副靭帯(MCL)
  • 外側側副靭帯(LCL)

膝を正面から見たときに、2本の靭帯が前後で交差しているように見えます。

この靭帯のうち前にある靭帯を前十字靭帯、後ろにある靭帯を”後十字靭帯“と呼びます。

専門家の間ではACLと呼ばれていますが、これはAnterior(前の) Cruciate(十字) Ligament(靭帯)という英語綴りの頭文字をとった略称になります。

前十字靭帯の解剖学イラスト

イラストを見たらわかりやすいですが、前十字靭帯は太ももの骨である大腿骨から脛骨という脛の骨に付いています。

詳しく説明すると、大腿骨の後方から脛骨の前方に向かって付着しています。後十字靭帯は反対に、大腿骨の前方から脛骨の後方に向かって前十字靭帯と交差するように付着しています。

内側側副靭帯と外側側副靭帯はそれぞれ膝の内側と外側についています。

十字靭帯と側副靭帯の大きな違いは、十字靭帯は膝関節の中にあり、側副靭帯は関節の外にあることです。このため、関節の中にある前後十字靭帯を損傷する方が、内外側副靭帯を損傷するよりも深刻な怪我になりやすいです。

前十字靭帯の役割

上記で説明したとおり、前十字靭帯は大腿骨の後ろから脛骨の前方に向かって付いている靭帯です。

靭帯はそもそも固いゴムのような軟部組織で、関節が必要以上に動かないように支える役割があります。

もし靭帯がなければ骨が動きすぎてしまい、簡単に脱臼してしまいます。

前十字靭帯の重要な役割は、脛骨が前方に動きすぎないように制御することです。

脛骨が靭帯によって止められていることで、人間は走ったり急に止まったりしても膝がグラつくことなく動くことができます。

そのため前十字靭帯を痛めてしまうと、損傷の程度によっては歩くだけで膝が不安定になることがあります。

前十字靭帯は膝の安定性を保つために最も重要な靭帯です。

前十字靭帯損傷とは?

前十字靭帯が人間の身体にとって重要な靭帯ということをお伝えしました。

次は前十字靭帯の怪我について説明します。

前十字靭帯に限ったことではないのですが、靭帯の怪我は重症度によって3段階に分けられます。

1度損傷

  • 靭帯が伸ばされたが切れてはいない
  • 軽度の痛みと腫れ
  • 膝の不安定感は感じない
  • チェックテストで関節の緩みが感じられない 

2度損傷

  • 靭帯が部分断裂している
  • 痛みと腫れ、関節機能の低下
  • 膝が不安定に感じ、少しグラつく
  • チェックテストで関節の緩みがあるが、靭帯も感じる 

3度損傷

  • 靭帯の完全断裂
  • 痛みと腫れがあるが、激痛ではない
  • 膝が不安定で体重をかけるのが怖い
  • チェックテストで関節の緩みがあり、靭帯の感覚がない
  • 受傷後1-2時間で内出血が見られる

参考(Physiopedia)

1度損傷の場合は保存療法といい、手術を行わずに治療するのが一般的です。

2度損傷になると、競技レベルのスポーツに復帰する場合は手術を受けることが多いですが、部分断裂の程度によります。

3度損傷では日常生活にも支障が出てしまうので、スポーツをしていない方でも手術を選択することが多いです。

前十字靭帯損傷の症状

重症度の分け方でも触れていますが、前十字靭帯損傷が疑われる症状を紹介します。

全てに当てはまらなければ前十字靭帯は大丈夫、ということではないので注意してください。

人によって感じる痛さや関節の固さが違いますので、いくつかの症状に当てはまったら医療機関や専門家に相談することをおすすめします。

痛み

靭帯を傷つけてしまうので、最初に感じるのは痛みです。

重症度によって痛みの強さは異なりますが、膝全体に痛みを訴える方が多い印象です。これは前十字靭帯損傷が起こったときは、半月板など他の組織も同時に痛めてしまうことが多いからです。

3度損傷の前十字靭帯断裂が起こったときは、痛みが思ったよりも強くないことがあります。痛みの強さがそのまま重症度につながらない点は覚えておいて欲しいです。

不安定感

前十字靭帯の怪我で特徴的なのは膝関節の不安定感です。

特に靭帯断裂が起こったときは、歩くことも恐怖を覚えるほど膝がグラついてしまいます。

体重をかけることも難しいので、無理に歩かずに松葉杖などを利用しましょう。

病院で靭帯損傷を診断する際も、関節の不安定性は重要な確認事項になります。

腫れ

膝関節の中と周りには多くの血管が通っています。

靭帯を損傷するような強い衝撃が膝関節に加わったときに、靭帯と同時に細かな毛細血管も切れてしまいます。

切れた血管から血液が流れ出し、関節内外に溜まることで膝は大きく腫れ上がります。

血液が関節の外に漏れ出し、皮膚に近い場所まで到達したら、皮膚が青く変色する内出血が起こります。

変色した場所が傷ついているとは限らず、皮膚の下に血液が溜まっているだけの場合が多いので、内出血はそこまで気にしなくても大丈夫です。

可動域制限

前十字靭帯を損傷すると膝関節が急に硬くなって動かなくなります。

1度損傷ではこの症状が軽い場合もありますが、靭帯が断裂すると関節がほとんど動かなくなるほど固くなってしまいます。

この固さは痛みが原因ではなく、関節内に血液などが溜まってしまい、動きを制限してしまうことが多いです。

前十字靭帯損傷の原因

前十字靭帯の怪我で最も多いのはnon-contactと呼ばれる非接触での損傷です。

打撲などの怪我では対戦相手やボールなど、何かと接触して怪我することがほとんでですが、前十字靭帯は自分自身の動きで痛めてしまうことが多いです。

もちろん相手とぶつかったことが原因で怪我をすることもありますが、非接触での損傷がより一般的です。

前十字靭帯を損傷するときに1番多く見られる動きがknee-in toe-outと呼ばれる動作です。

これを直訳すると、「膝が内、つま先が外」という意味になります。

膝が内側に入り前十字靭帯損傷リスクのある動き
(Massage & Fitness Magazine)

写真のように足首に対して膝が内側に入ってしまう動きをknee-in toe-outと表現しています。

 

それでは実際に、前十字靭帯を損傷しやすい動きを具体的に紹介していきます。

  • 切り返し動作(カッティング)
  • ジャンプから片足での着地
  • ストップ動作
  • 外側からの強い衝撃

切り返し動作

カッティングとも呼ばれる切り返し動作は、前十字靭帯を損傷する代表的な動きです。

反復横跳びのような横の動きだけでなく、斜め前方に切り返す動きも膝が内側に入りやすい動作になります。

切り返し動作は必ずと言っていいほど片足で行われます。そして方向転換で使われることが多いので、素早く爆発的な動きになりやすく、前十字靭帯の損傷が起きやすい動きになってしまいます。

ジャンプの着地

ジャンプをしてから着地をする瞬間も膝が内側に入りやすいので注意が必要です。

これは人間の身体が解剖学的に、足首が内側に入りやすい構造をしているからです。

両足で着地をすれば安全ですが、どちらかの足が先に地面に着いたり、もしくは片足で着地をするときは、前十字靭帯へのリスクがあるので気をつけてください。

ストップ動作

あまり知られていませんが、ストップ動作で前十字靭帯を損傷するケースもあります。

加速している状態から減速するときは、膝だけでなく脚全体に強い力がかかります。

そして減速してストップする瞬間は、両足での動作ではなく片足で一歩一歩止まることが多いので、膝が内に入りやすくなってしまいます。

外側からの衝撃

これは自分でコントロールできる動きではないのですが、外側から膝に対して強い衝撃が入ると、膝は無理やり内側に入ってしまいます。

例えばジャンプして着地する瞬間に、相手選手の足が自分の膝に当たり、膝が内側に入ってしまうことで、前十字靭帯を断裂してしまったアスリートも存在します。

自分で気をつけるには限界がありますが、対人競技をされている方は注意が必要です。

その他の要因

前十字靭帯を損傷しやすい「動き」を紹介しましたが、潜在的に前十字靭帯を損傷するリスクが上がる要因もあります。

  • 女性 : 男性に比べて骨盤が広い
  • 前後の筋力差 : 太ももの前面と後面の筋力バランス
  • 左右の筋力差 : 右足と左足の筋力差
  • 体幹が不安定 : 膝でバランスを取ろうとする

前十字靭帯を怪我するときは、損傷しやすい「動き」と「潜在的な要因」があることを知っておいてください。

前十字靭帯損傷の治療

前十字靭帯の治療は怪我の程度によって大きく異なります。

最も重要なことは前十字靭帯の再建手術を受ける必要があるか?という点です。

怪我をした直後の応急処置から順を追って説明していきます。

前十字靭帯損傷の応急処置

安静
前十字靭帯に限らず、膝の怪我をしたときはまず動くことをやめてください。
無理して動くことで怪我が悪化したり、必要以上に多くの組織を傷つけてしまう恐れがあります。
松葉杖などを使って負傷した足に体重がかからないようにしましょう。

固定
膝が動いて怪我を悪化させないように固定しましょう。
バンテージやテーピングなどで固定することによって腫れも抑える事ができます。

アイシング
怪我をした直後にアイシングをすることで、痛みを軽減と腫れを抑える事ができます。

病院での画像診断
膝を痛めたときは、病院でMRIなどの画像検査を受けてください。
靭帯に損傷があるかどうかは画像診断以外で判断することは不可能です。

  • 安静
  • 固定
  • アイシング
  • 病院での画像診断

前十字靭帯の再建手術

1度損傷で靭帯に部分断裂も見られない場合は、手術をしない保存療法で回復することが多いですが、2度以上の損傷でスポーツに復帰する場合は再建手術を受けることがほとんどです。

前十字靭帯が断裂したときは、スポーツをしていない一般の方でも手術を受ける方が多いです。

断裂した靭帯は自然にくっつくことはないので、再建手術を受けないと歩いているだけで膝の不安定さが感じられます。

前十字靭帯の手術では断裂した靭帯を縫い合わせるよりも、ハムストリングスの腱など身体の他の部位から前十字靭帯の代わりになる組織を摘出して、新しい靭帯として膝に付けられることが多いです。

可動域訓練

膝の靭帯を痛めると、膝関節の可動域が大きく低下します。

怪我した直後は痛みによって膝が動かせなくなりますが、痛みが引いてくると膝が固まって動かないように感じます。

可動域が低下してしまう原因は様々ですが、関節周りの軟部組織や筋肉が固まってしまうことが一つの原因として考えられます。

可動域を改善するには痛みのない範囲で少しずつ関節を動かすことが効果的です。

毎日繰り返していると少しずつですが、膝の動く角度が増えていきますので、無理して痛みが出るほど動かさないようにしてください。

筋力トレーニング

手術の有無にもよりますが、前十字靭帯を損傷したあとは筋力が著しく低下します。

特に手術を受けると膝の固定期間が長くなるので、怪我をしていない側と比べてかなり細くなってしまいます。

筋力は関節の安定性に大きく影響するので、できるだけ早い段階から筋トレを開始することが、早く競技に復帰するために重要です。

筋トレと言っても、重りを担いでスクワットをするようなトレーニングではなく、軽度のエクササイズから段階的に強度を上げることで、膝に負担をかけることなく筋力を強化することができます。

リハビリ

前十字靭帯損傷は再発率が非常に高い怪我なので、再発予防も兼ねたリハビリは競技復帰のために必須です。

リハビリをする上で重要なことは、前十字靭帯を損傷する原因になる「膝が内に入る動き」を改善することです。

スポーツ中にはどうしても膝が内に入りやすい動きを避けることはできません。

しかし、過度に膝が内に入りすぎないことや、内に入った後に膝をすぐ戻せるような動き作りとフォームの改善は必ず行いましょう。

練習や試合に集中しているときに自分の動きや膝の位置を気にすることは難しいので、リハビリの段階で無意識に正しい動きが出来るようになるまで徹底的に身体に染み込ませることが大切です。

  • 可動域訓練 : 痛みのない範囲で少しずつ
  • 筋力トレーニング : 段階的に強度を上げる
  • リハビリ : 再発予防の動き方を習得

アメリカのバスケットボール、NBAの選手が前十字靭帯を断裂し、再建術を受けてからの復帰率とパフォーマンスへの影響をまとめた論文を以下の記事で解説しています。

前十字靭帯を損傷しても、正しい治療とリハビリを受けることで、再び高い競技レベルに戻れることが証明されています。
>> NBA選手における前十字靭帯再建術後の復帰率とパフォーマンス

まとめ

前十字靭帯の怪我はスポーツ選手にとって最も深刻な怪我です。

しかし、正しい治療とリハビリを受ければ必ず競技復帰を果たせますし、前十字靭帯を断裂した後もトップレベルで競技し続けている選手もたくさんいます。

重要なのは前十字靭帯を直すだけでなく、再発まで予防した上で競技に復帰することです。

リハビリは長く険しい道ですが、必ずゴールはありますので、再びスポーツを楽しむことを目標に忍耐強く治療に取り組んでください。

神戸三宮で前十字靭帯のリハビリならライフロングへ

ライフロングの運動療法は前十字靭帯を治すだけでなく、最先端のリハビリ技術を駆使して競技スポーツや日常生活に戻るまで丁寧なサポートをします。

前十字靭帯の治療では再発予防までを考えたリハビリメニューの作成が重要かつ最も難しい部分でもあります。

競技特性に合わせたエクササイズの選定正しいフォーム指導を行わない限りは、再発リスクが上がるだけでなく、復帰後の競技パフォーマンスも低下してしまいます。

是非、最新医学に基づいた運動療法で、正しい治療を受けていただければ幸いです。

運動療法の効果については以下の記事にまとめてあります。

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