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Case Study 症状別事例

2024.04.19

投球障害

リトルリーガーズショルダー

執筆大澤 亮(理学療法士)

有名なスポーツ整形外科で主に手術直後のリハビリを担当。病院で培った臨床技術を活かし、ジュニアアスリートから高齢者の運動愛好家まで幅広い年代のリハビリを得意とする。自身のスポーツ歴は野球、バスケ、カヌー。

小学生や中学生年代の野球をする選手では多くの選手が肩の痛みに悩んでいます。

野球選手が肩の痛みを訴えると野球肩と言われますが、今回は野球肩の中でも成長期の選手に多い怪我で、リトルリーガーズショルダーを紹介します。

この記事では、神戸三宮で活動する理学療法士が、成長期の野球選手の多くを悩ませる肩の痛みについて紹介し、肩を怪我しないようにするための情報を紹介しています。

記事の内容
  1. リトルリーガーズショルダーについて知りたい
  2. リトルリーガーズショルダーにならないための方法を知りたい
  3. リトルリーガーズショルダーになった後のリハビリ方法を知りたい

「投げるたびに肩が痛い」、「成長期の肩の痛みにどう対処すればいいのかわからない」このような悩みを抱えている選手や保護者の方は多いと思います。

病院に通院してもなかなか痛みがよくならないという方がよく相談に来られます。

リトルリーガーズショルダーに対しては正しく運動をして正しい体の使い方、筋力、柔軟性を身につけなければ痛みの改善の遅れや痛みの再発などのリスクもあります

この記事をご覧いただき、リトルリーガーズショルダーについての理解を深め、少しでもご自身の症状改善・野球肩の予防にお役立てください。

リトルリーガーズショルダーとは

リトルリーガーズショルダーとは通常11歳から16歳のピッチャーにみられ、13歳頃にピークがあります。

成長過程では骨の両端に骨が伸びるための骨端線という成長線が存在します。

繰り返し投球することで腕の骨に牽引と回旋の力がかかり、骨端線を損傷することをリトルリーガーズショルダーと言います。

リトルリーガーズショルダーでは投球時の痛みが代表的な症状です。

痛みを我慢したまま投球を続けていると安静時にも痛みが出ることもあります。

また、悪化すると骨の変形などの後遺症が残る可能性もあるため肩に痛みが出た場合、早めに専門機関に受診することが重要です。

リトルリーガーズショルダーの原因

リトルリーガーズショルダーの原因には骨の成長と大きく関係しています。

成長期の骨には骨端線が存在し、成人の骨に比べると強度が低いです。

その状態で繰り返し投球動作を行うと骨端線に対してのストレスが大きくなり、リトルリーガーズショルダーとなってしまいます。

また、近年野球技術の向上によって成長期の子供でも速い球を投げる選手が増えており、球速が速いほど肩にかかる負担が大きくなるため、リトルリーガーズショルダーのリスクが上がっています。

原因はほかにも、不良な投球フォームや投球過多によって引き起こされます。

投球障害では共通して投球フォーム、投球数の影響を受けます。

投球障害について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

リトルリーガーズショルダーの治療方法

リトルリーガーズショルダーの治療では安静にすることが優先されます。

損傷する部位は回復力が強いため安静にすることで治癒すると言われています。

安静期間は損傷程度によって変わりますが、4-6週程度で回復することが多いです。

安静にすることは重要ですが競技期間に限りがある学生にとってこの期間はとても長く、もどかしいと感じると思います。

この期間のうちに肩に負担のかからない運動で下半身・体幹などの柔軟性、投球フォームの修正などをすることで投球を再開した時に1日でも早く投球開始できたり、再発の予防、競技のパフォーマンスの向上につながります。

リトルリーガーズショルダーの予防法

できるだけリトルリーガーズショルダーにならないことが重要です。

リトルリーガーズショルダーにならないために重要なことは、

投球数の制限と投球時にかかる肩への負担の軽減です。

投球時にかかる肩への負担には投球フォーム、身体の柔軟性や筋力などの機能が影響します。

重要な機能は

  • 肩関節周囲の柔軟性
  • 体幹の柔軟性
  • 股関節の柔軟性
  • 股関節の筋力
  • 肩関節周囲の筋力

特にこれらの機能が重要になります。

これからリトルリーガーズショルダーの予防や治療の安静期にできる運動を紹介します。

肩関節内旋運動

  1. 横向きに転び下側の肩と肘を90°曲げる
  2. 手の甲を押し地面に近づける

体幹回旋

  1. 足を付けたまま背中でバランスボールに乗る
  2. 手を伸ばし大きく左右に回す

股関節回旋運動

  1. 地面に座り膝を90°曲げる
  2. 骨盤が浮かないように股関節を左右に動かす

ラテラルバンドウォーク

  1. 足にチューブをかけて、斜め前に足を出して歩く

ダンベルリフトオフ

  1. うつ伏せに寝てダンベルを持ち背中に手を回す
  2. ダンベルをできるだけ身体から離す

まとめ

成長期の野球選手や指導者、保護者の方にとってリトルリーガーズショルダーは常に気を付けなければならないものであり、野球をするうえで必ずついてくるリスクです。

ぜひこの記事を読み少しでもリスクを軽減して野球に取り組めるよう活用してください。

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