2026.06.17
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは運動不足でなる?注意したい生活習慣や日常動作を解説
執筆児玉 紗椰(アスレティックトレーナー)
高齢者への運動指導と学生アスリートのリハビリ現場で活躍。運動経験の少ない方や苦手な方が無理なく自分のペースで運動できるように、温かい指導を行う。

運動不足は椎間板ヘルニアの大きな要因になります。
運動不足が続くと筋力低下や姿勢不良、身体の硬さなど様々な要因によって腰への負担はかかりやすくなります。
では、運動不足の人がヘルニアになりやすい生活習慣や日常動作など詳しく説明していきます。
| この記事でわかること |
|
目次
運動不足の人がヘルニアになりやすい要因
運動不足の方が椎間板ヘルニアになってしまう原因としては、以下のような要因があります。
筋力低下
運動不足の状態が続くと体を支えるための筋力が低下していきます。
特に腹筋や背筋といった体幹の筋力が低下すると、背骨や椎間板にかかる負荷も大きくなります。
また、筋力が低下することによって姿勢も崩れやすくなります。
猫背や骨盤が後傾するなどの姿勢不良にも繋がり椎間板への負担が増大してしまいます。
体重増加
運動不足が続くと消費カロリーが減り、体重が増加しやすくなります。
体重が増えることで椎間板にかかる負荷はさらに大きくなり腰椎椎間板ヘルニアになるリスクも増加します。
柔軟性の低下
運動不足によって、筋肉や筋繊維が動かされなくなり短縮、硬化する「拘縮」が起きます。
さらに筋肉の活動量が減ると血流量も低下し組織に酸素や栄養が行き渡らなくなり、疲労物質はさらに蓄積し、硬くなってしまいます。
筋肉が硬くなると、関節の可動域は低下します。
関節可動域が低下してしまうと、動かない関節の代わりに腰椎が過剰に動いてしまったり、骨盤が後傾位になったり椎間板にかかる負荷は増えてしまいます。
運動不足の人がヘルニアになりやすい生活習慣や日常動作

そもそも運動習慣がない
運動習慣がないと筋力は低下していきます。
筋力が低下すると体幹を支えてくれる筋力は低下していき、腰への負担は増加します。
筋力低下によって腰痛が発生すると、さらに運動しなくなるという悪循環が生まれてしまうので、痛みや痺れがないうちに運動する習慣をつけることが大切です。
デスクワーク
海外で発表された有名な論文によると、立位が100%とすると座る姿勢は椎間板への圧力が約140%にも増大します。
さらに、猫背姿勢で座ると椎間板への内圧は約185%以上にも増加します。
座る姿勢だけでも椎間板への圧力は強くなり、さらに猫背姿勢だとより椎間板への圧力は増大してしまいます。
それが長時間となると、坐骨神経も圧迫され痺れや痛みも出てきます。
悪い姿勢での長時間のデスクワークは腰への負担が大きくなるため、30分〜1時間おきに立ち上がり、長時間の座りっぱなしはできるだけ避けるようにしましょう。
休憩などがある場合は軽いストレッチも効果的です。
階段を使わない
階段を使わずにエスカレーターやエレベーターばかり使っていませんか?
階段の上り下りは心肺機能の向上や下半身の筋力強化にも繋がります。
腰に痛みや痺れがない場合はできるだけ階段を利用し運動不足を解消しましょう。
喫煙
喫煙者は非喫煙者に比べて椎間板ヘルニアの発生するリスクは高くなると言われています。
喫煙で発生するニコチンは血管を収縮させ血流が低下します。
血流が低下すると、椎間板への酸素や栄養は届かなくなり椎間板の水分は低下していきます。
椎間板の水分が低下すると脆くなり、椎間板の変性や亀裂も生じやすくなります。
さらに、飛び出した髄核は異物と認識され3〜6ヶ月で自然に縮小・消失することもありますが喫煙することによって修復能力は低下し回復も遅くなります。
禁煙することによって血管収縮も解消され、血流が改善することで椎間板への栄養や酸素供給は正常に戻っていきます。
喫煙で妨げられていたコラーゲンの合成も促進され損傷した組織の治癒スピードも上がっていきます。
喫煙習慣を見直すことで腰への負担軽減や回復しやすい体づくりにもつながります。
無理のない範囲で少しずつ取り組んでいきましょう。
運動不足解消するにはどのくらいの運動が必要?

運動不足を解消するためにはどのくらい運動すればいいの?と疑問に思う方も多いと思います。
ヘルニアの予防や腰痛の改善のためには無理なく継続できる運動習慣をつけることが大切です。
運動する頻度や強度、やり過ぎのリスクについて説明していきます。
運動する頻度
運動不足解消のためにはまず週2回以上、1回30分程度で無理なく始めることが大切です。
これは厚生労働省が推奨する運動頻度です。
いきなり激しい運動を毎日行うのではなく、まずは継続できる運動頻度で運動してみましょう。
運動強度
運動する強度は「息が少し弾む」程度の中強度の運動ががおすすめです。
強度が強すぎる運動は腰への負担を増大させてしまうため、会話のできるウォーキングや軽い筋トレから始めてみましょう。
運動しすぎのリスク
運動することは大切ですが、急に負荷をかけすぎると筋肉や、腰への負担への増加し腰痛が悪化してしまう可能性があります。
無理のない状態で運動し、身体の状態に合わせながら運動量を増やしていくようにしましょう!
運動不足予防に効果的な運動
運動不足解消にはどのような運動が効果的か紹介していきます。
有酸素運動
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、全身の血流が促進されます。
血流が良くなると、腰回りの筋肉の緊張を緩和し、椎間板へ水分や酸素を行き渡らせる効果が期待できます。
そのほかにも、代謝が上がるので脂肪も燃焼されやすくダイエットにも効果的です。
体重が減ると椎間板への負担も減り、腰痛の軽減にも繋がります。
ウォーキングはダラダラ歩くのではなく、背筋を伸ばして腕を大きく振り、息が弾む程度の早歩きを意識すると負荷も上がり運動効果も向上します。
まずはウォーキングから徐々に運動していき、運動に慣れて習慣化できるようになれば軽いジョギングなど負荷を少しずつあげていくようにしましょう。
ストレッチ
腰椎周囲の筋肉や股関節周囲の筋肉が固まると姿勢が悪化し、骨盤が後傾位になりやすく椎間板にかかる負荷も大きくなり、腰痛が悪化してしまう可能性があります。
ストレッチは家でも実施できるので、痛みや痺れがあるときは無理をせずにちょっとした合間にも実施してみましょう。
効果的なストレッチはこちらで紹介しています。
>> 理学療法士が厳選!椎間板ヘルニアの人におすすめのストレッチ3選
トレーニング
腰椎椎間板ヘルニアは腰椎周囲の安定性が低下すると腰が支えられなくなり椎間板に負担がかかりやすくなります。
腰椎を安定させるためには腹圧が必要になります。
腹圧とは腹部の圧力のことで、上下左右にある筋肉が膨らむことによって腹腔内の圧力は増加し腰椎も安定します。
まずは腹圧を高めることができるブレーシングというエクササイズからやってみましょう。
ブレーシング
- 膝を曲げて仰向けになる
- お腹を膨らますように鼻呼吸をする
息を吐くときにも腹圧が抜けないように注意しましょう。
プランク
プランクは腹筋を鍛えるトレーニングになります。
腹筋は身体を曲げる動作だけでなく、背骨や骨盤を支え姿勢を安定させてくれる筋肉になります。
腹筋を鍛えることで腰椎は安定し、椎間板への負担も軽減するのでまずは簡単なプランクから実施してみましょう。
- 肘とつま先を支点に身体を持ち上げる
- 腰が上下左右に動かないように腹筋で耐える
腰が反ったり、曲がったりすると腰に負担がかかってしまうので一直線をキープして正しい姿勢で実施するようにしましょう。
日常動作でできる運動
運動不足を解消するには、日常の動きの中でも運動を取り入れる意識を持つことが大切です。
- エレベーターではなく階段を使う
- 1駅分歩く
- 近場の移動は徒歩か自転車にする
- 掃除や洗濯など家事の合間にストレッチをする
このように、日常の動きの中でも運動は取り入れることができます。
特に「忙しくて運動する時間が取れない」という方は、日常生活の中で少しでも身体を使う習慣をつけましょう。
小さな積み重ねでも継続して実施することで運動不足解消につながり、それが腰痛の予防や改善にもつながります。
運動不足を解消して椎間板ヘルニアを改善しよう!
運動不足は筋力低下や、柔軟性不足、姿勢の崩れなどさまざまな要因によって腰に負担がかかりやすくなり、腰椎椎間板ヘルニアのリスクを高める原因の1つになります。
激しい運動を行う必要はなく、ウォーキングや軽いトレーニング、日常生活の中で身体を動かし運動する習慣を身につけることが大切です。
無理のない範囲で継続し、少しずつ運動習慣を身につけるようにしましょう!
腰椎椎間板ヘルニアについてより詳しい情報が知りたい方はこちらをご覧ください。
参考文献
Nachemson AL. Disc pressure measurements. Spine (Phila Pa 1976). 1981 Jan-Feb;6(1):93-7. doi: 10.1097/00007632-198101000-00020. PMID: 7209680.
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