アキレス腱障害とは?アキレス腱炎からアキレス腱断裂まで原因と治療法を紹介

アキレス腱の写真

アキレス腱はかかとに付いている人間で一番大きなです。

アキレス腱の怪我は若い子供からプロのスポーツ選手まで、幅広い年代、様々なスポーツで頻繁に見られます。

一度怪我してしまうと、なかなか完治できずに繰り返し痛みが発生しやすい怪我でもあります。

この記事ではアキレス腱の痛みに悩んでいる方の、少しでも助けになれるように、症状から治療法、予防まで解説しています。

治療法に関しては、私が実際に使用している技術もお伝えさせていただきますので、ぜひご活用ください。

 
この記事は海外サッカー、B.LEAGUE、2020東京オリンピックでも活動する理学療法士のスポーツトレーナーが執筆した信頼できる記事です。

アキレス腱炎とは?

アキレス腱について話す前に、そもそも腱とは何かについて説明させていただきます。

アキレス腱の解剖学イラスト
(Heel Clinic)

腱というのは筋肉が骨に付着する部分です。筋肉は骨から骨に付いていますが、骨に付着する部分は腱という、とても硬い組織になっています。

筋肉のように柔らかい組織ではなく、とても硬いゴムのような軟部組織です。

腱も筋肉と同じように伸張性(伸び縮みする性質)がありますが、筋肉ほど伸びることはできません。

そして人間の身体で最も大きな腱がアキレス腱です。アキレス腱はふくらはぎの筋肉(腓腹筋とヒラメ筋)が踵骨というかかとの骨に付いている部分のことです。

アキレス腱炎とは言葉のとおり、ふくらはぎや足の筋肉の怪我ではなく、アキレス腱が炎症することで痛みが出る怪我です。

アキレス腱炎の症状

アキレス腱炎のイラスト
(CT Sports)

痛み

アキレス腱炎で最もわかりやすい症状はアキレス腱の痛みです。

アキレス腱だけでなく、腱の付着しているかかとにも痛みが出ることがあります。

痛みの出方にも特徴があり、朝起きてすぐの状態だと痛みと共にアキレス腱に硬さを感じやすいです。

そして運動を始めると痛みが増えますが、身体が温まってくると痛みが軽減されます。

運動を終えた後は非常に強い痛みとともに、大きく腫れてしまうことが多いです。

朝は痛くて硬い、運動中は少し楽で運動後に強い痛み、という症状がかかとの辺りに見られる場合はアキレス腱炎が疑われます。

アキレス腱の痛みを確認する男性

アキレス腱の腫れ

“腱炎”という病名がついているとおり、痛みのある部位には炎症が起き、腫れていることが多いです。

度重なるランニングやジャンプ動作によって、アキレス腱に強い負荷がかかると、アキレス腱は少しずつ痛んでしまいます。

損傷した組織を治すために、人間の身体は修復の役割を担う細胞をアキレス腱に送り、修復作業によって炎症が起こり、腫れてしまいます。

後ほど詳しく説明しますが、炎症の場所によって、アキレス腱炎アキレス腱腱鞘炎に区別されます。

アキレス腱炎の原因

運動負荷の増加

アキレス腱炎になる最も大きな原因はアキレス腱に対する短期間での過剰な負荷です。

よく見られるのは、運動を始めて間もない人連休明けの学生など、身体が運動に慣れていない時期に頑張り過ぎてしまうことでアキレス腱を痛めてしまう症例です。

例えば、小学校から中学校に上がった瞬間に練習量が急激に増えてしまったり、夏休み明けにいきなり高強度のトレーニングを行う、ということが原因となりえます。

急な運動負荷の増加は、アキレス腱に耐えられないほどの負荷がかかってしまい、結果として炎症が起こり痛みが出てしまいます。

特にアキレス腱炎を起こしやすい種目は、高跳びやバスケットボールなど瞬発的に高くジャンプをする競技や、短距離走など一歩一歩強く踏み込む競技です。

高飛びをする女性選手

ウォーミングアップ不足

練習量やトレーニング量に加えて、練習前のウォーミングアップ不足もアキレス腱を引き起こす原因になります。

先ほども言いましたが、腱は筋肉より硬く伸びにくいです。練習前にしっかりストレッチなどで筋肉と腱を伸ばし、身体を温めておかないと、瞬発的な動きをしたときにアキレス腱にとても強い負荷がかかってしまいます。

伸び縮みする準備ができていない状態のアキレス腱のまま運動を初めてしまうと、腱と付着しているかかとの骨に繰り返し引っ張られるストレスが発生し、炎症が起きてしまいます。

アキレス腱炎の治療

公園でアキレス腱のストレッチをする女性

アキレス腱炎を治療する上で大切なことはアキレス腱の状態と運動量をバランスよくコントロールすることです。

運動量の調整

アキレス腱炎の原因はアキレス腱への短期間での過剰な負荷です。運動量に耐えきれずに炎症が起こり、痛みにつながっています。

痛みが強いうちは練習を休んでアイシングで炎症を抑えながら、ストレッチで硬くなったふくらはぎの筋肉を緩めましょう。

朝起きてすぐや、歩いても痛みを感じなくなったら少しずつ運動を開始してアキレス腱を鍛えることで少しずつ耐えられる運動量を増やしていきます。

アイシング

痛みが強くなったときや、運動の直後にはアイシングが有効です。

アキレス腱炎の痛みの原因は炎症によるので、炎症を抑えることができるアイシングは効果的に症状の悪化を防いでくれます。

しかし気をつけて欲しいのは、アイシングに治療効果は期待できないということです。

アイシングはあくまで状態の悪化を防ぐ役割で、損傷したアキレス腱を修復してくれるものではありません。

アイシング以外の治療と並行しながら使うようにしてください。

トレーニング

アキレス腱を構成している腓腹筋とヒラメ筋のトレーニングを行うことで、アキレス腱がより重い運動負荷に耐えることができるようになります。

アキレス腱の耐久力が上がることで炎症の発生を抑え、症状の回復を早めてくれます。

アキレス腱炎のような腱の怪我をまとめて「腱障害」と呼びますが、腱障害にはイーセントリック収縮のエクササイズが有効とされています。

イーセントリックというのは筋肉が伸ばされながら力を発揮している状態です。

少し専門的で難しいですが、カーフレイズがアキレス腱のイーセントリック収縮を起こす代表的なエクササイズです。

トレーニングとしては、両足のカーフレイズ から片足のカーフレイズ のように段階的に負荷を上げていくことが大切です。

ここで重要なのは痛みの出ない強度でトレーニングを行うことです。運動負荷を上げて痛みが出るということは、アキレス腱はまだその負荷に耐えるだけの強度がないということなので、強度をもう一度下げてトレーニングを継続します。

ストレッチ

ふくらはぎのストレッチもアキレス腱の怪我に有効な治療の一つです。

ふくらはぎの筋肉が硬いとアキレス腱の伸張性も低くなってしまいます。筋肉と腱が硬い状態だと、伸張性のある組織に比べてより強い力で引っ張られてしまい、負担が大きくなってしまいます。

ストレッチをして腓腹筋などの筋肉が伸び縮みしやすい状態を整えてあげることで、アキレス腱への負担を減らし、炎症の発生を防ぐことができます。

おすすめの治療法

ここで私が治療家として実際に取り入れている治療法を一つ紹介させていただきます。アキレス腱炎だからと言ってアキレス腱だけを治療すればよくなるというわけではありません。

私の経験上とても有効性の高かった治療は足裏へのアプローチです。

アキレス腱は踵骨というかかとの骨に付着していますが、足裏にある足底筋膜という大きな組織も踵骨に付着しています。

この足底筋膜が硬くなることで、踵骨の動きを制限してしまい、アキレス腱への負荷が増えてしまうということが考えられます。

足底筋膜はテニスボールやゴルフボールを踏むことでほぐすことができます。

足底筋膜をほぐすことで間接的にアキレス腱の負担を減らすことができるので非常に有用な治療法として使っています。

足底筋膜と踵骨のイラスト

アキレス腱炎の予防

アキレス腱炎の予防には運動強度を段階的に増やす、アキレス腱が運動負荷に耐えられるよう鍛える、運動前にしっかりウォーミングアップするということが大切です。

運動強度の調整

人間の身体は環境に少しずつ適応するようにできています。筋力や柔軟性も同じで、少しずつ適応していきます。

いきなり高強度の運動をしても、身体は適応するどころか壊れてしまいます。

自分で練習量を調整することは難しいですが、指導者やコーチの方にアキレス腱の痛みについて正直に話すことをおすすめします。

また、指導者の方々は急激に運動強度を上げてしまうと身体へ悪影響が出てしまうことを理解していただくことが大事です。

アキレス腱の強化

運動負荷を急激に上げると身体にストレスがかかってしまいますが、少しづつ運動強度を上げないと選手として上達しないことも事実です。

少しずつ上がっていく運動強度にアキレス腱が耐えられるように、ストレッチで伸張性を高め、カーフレイズ などのトレーニングで筋力を上げることが予防につながります。

ウォーミングアップ

運動の前はふくらはぎをしっかりストレッチし、身体を温めることが大切です。

体温が上がると筋温も上がり、筋肉の伸張性が向上します。

アキレス腱に不安のある人は他の選手よりも入念なウォーミングアップを行うことで、アキレス腱炎を防ぐようにしましょう。

テーピング

アキレス腱にテーピングを貼る理学療法士

アキレス腱炎にはキネシオテープなどの筋肉をサポートするテーピングを付けることで、アキレス腱にかかる負担を減らすことができます。

キネシオテープは白くて硬い一般的なテープとは違い伸縮性に優れたテープで、筋肉の働きを促進させる効果が期待できます。専門的な種類のテープなので、トレーナーなどプロに貼り方を教わってから使うようにしましょう。

テーピングを使うと症状が楽になり、予防の効果も期待できますが、テーピングに頼りきるのはやめましょう

運動するときはテーピングを使用し、別の時間でトレーニングやストレッチでアキレス腱自体の治療も同時に行うことがとても重要です。

アキレス腱周囲炎とは?

アキレス腱の炎症には腱自体が炎症を起こす「アキレス腱炎」と、アキレス腱の周りの組織が炎症を起こすアキレス腱周囲炎」があります。

周囲炎の場合はアキレス腱の周りを保護している腱鞘という組織の炎症(腱鞘炎)やアキレス腱の前後にある滑液包という組織の炎症(滑液包炎)に区別されます。

腱鞘というのは腱を保護するように腱の周りについている膜のようなものです。手首の怪我に多い腱鞘炎は手首の腱鞘に炎症が起こる怪我です。アキレス腱も一つの腱の一つなので腱鞘に包まれており、腱鞘炎になることがあります。

アキレス腱と滑液包の解剖図
(Webmd)

滑液包というのは液体が詰まった小さな袋で、アキレス腱と皮膚、骨の間に付着し、アキレス腱が滑らかに動くことを助けている組織です。

この滑液包が炎症を起こすことを滑液包炎と言います。

アキレス腱周囲炎になる原因は腱炎と同じですが、2つの怪我を見極めるのは非常に難しいです。

医療現場での検査方法は、うつ伏せになった状態でアキレス腱の腫れている部分を優しくつまみます。その状態で足首を上下に動かしたときに、腫れも一緒に動いたら腱炎、動かなければ腱鞘炎と判断されます。

この検査は高度な技術と経験がないと判断が難しいので、専門家にお願いするようにしてください。

アキレス腱断裂とは?

アキレス腱を酷使すると腱が完全にきれてしまうことがあります。アキレス腱が断裂してしまったら、ほとんどの場合手術で縫合することになります。

アキレス腱の断裂はジャンプやダッシュで非常に強い力がアキレス腱にかかった瞬間に起こります。そしてアキレス腱炎で腱自体が弱くなっている人の断裂リスクはより高いとされています。

アキレス腱炎をしっかり治さないとアキレス腱断裂を引き起こす可能性が高くなるので、できるだけ早く改善することをおすすめします。

アメリカのバスケNBA選手のアキレス腱断裂と競技復帰に関する論文も参考にしてください。
>> アキレス腱を断裂したNBA選手の復帰率をパフォーマンスへの影響

まとめ

アキレス腱には様々な種類の怪我がありますが、どの怪我にも共通している原因は急な運動量の増加です。

アキレス腱は身体と地面が設置している部分にあり、走ったり跳んだりすると非常に大きな負担のかかる部位です。

運動負荷が増加することで、アキレス腱が負担に耐えられず、炎症を起こし痛みを出してしまいます。

アキレス腱が弱くなった状態だと、アキレス腱断裂のリスクが高くなってしまうので、アキレス腱が痛くなり始めたらすぐに治療を受けて悪化を防ぐことが重要です。

人それぞれ適切な運動量は異なるので、無理なく少しずつ運動量を上げましょう。アキレス腱のトレーニングやストレッチを並行して行うことで、運動負荷の増加にも耐えれらるアキレス腱に鍛えることができます。

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アキレス腱を痛める原因は、運動量に対してアキレス腱が弱い柔軟性が足りないということがほとんどです。

例え痛みを軽減したとしても、硬くなっている筋肉をストレッチし、機能していない筋肉を鍛えなければ必ず再発してしまいます。

「痛み」ではなく、「痛みの原因」を治す。

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