2026.01.29
投球障害
トミージョン手術とはどんな手術?理学療法士が復帰までの流れを解説
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。

野球のピッチャーが肘の手術をする際にトミージョン手術という名前をよく耳にすると思います。
トミージョンという名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、実際はどのような手術なのでしょうか?
最近ではメジャーリーガーの大谷翔平選手も2023年にこの手術をして話題になりました。
このページではトミージョン手術について詳しく紹介していきます。
| この記事でわかること |
|
野球選手にとって肘の痛みは最も多い怪我の一つなので、多くの人が悩まれているかと思います。
いくら安静にしても痛みが引かない人や靭帯損傷が大きい人に対してトミージョン手術が選択されることがあります。
トミージョン手術は年々増えてきてはいますが、全体的な症例数はまだ多いとは言えません。
この記事ではトミージョン手術について詳しく紹介していきますので気になる方は是非ご参考ください。
トミージョン手術とは
トミージョン手術とは1974年にアメリカの整形外科医であるフランク・ジョーブによってメジャーリーグのピッチャーである“Tommy John”に対して初めて行われた手術の名前からトミージョン手術と呼ばれるようになりました。
日本でも多くのプロ野球選手がトミージョン手術を行ってきました。
トミージョン手術を受けた日本人選手
日本人でトミージョン手術を行った選手を紹介します。
- 藤川 球児選手
- 和田 毅選手
- ダルビッシュ 有選手
- 大谷 翔平選手
- 前田 健太選手
他にも日本のプロ野球選手だけでも約200人の選手がトミージョン手術をしています。
トミージョン手術とは内側側副靭帯再建術という手術のことを指します。

肘の内側側副靭帯損傷に対してリハビリや投球中止しても効果がなく、手術以外の選択肢がない人や早期に復帰を目指す選手に対して選択されることがあります。
肘の内側側副靭帯損傷について詳しく知りたい方はこちらの記事で紹介しているので是非ご覧ください。
トミージョン手術とは損傷した内側側副靭帯の代わりに腕の腱や大腿部の腱などを靭帯の代わりとして肘に再建する手術です。
手術では再建靭帯を固定するために骨に穴をあけて再建する靭帯を固定します。
トミージョン手術では一般的に90%を超える割合で競技復帰が可能というデータが出ています。
トミージョン手術後のリハビリ

トミージョン手術後のリハビリ期間は約8ヶ月程度かかるとされており競技復帰には10ヶ月~12ヶ月程度の時間がかかるとされています。
手術後のスケジュール例を時系列に沿って紹介していきます。
手術後~1ヶ月:安静期間
ギプス固定をして再建した靭帯が骨にしっかりくっつくよう安静にします。
1ヶ月~3か月:可動域の左右差をなくす
ギプスは除去されますが、重い荷物を持つことや手をつくことはできません。
可動域訓練は自動運動(自分で無理なく動かす)が許可されます。
専門家によるリハビリでは、理学療法士やトレーナーによる可動域訓練も許可されます。
6週目から肩や腕の限定した動作のトレーニングを徐々に開始していきます。
4ヶ月~ネットスロー
ネットに向けて軽く投球を開始します
5ヶ月~キャッチボール
対人で短い距離のキャッチボールが開始できます
7ヶ月~立ち投げ
キャッチャーを立たせてブルペンでの投球開始
8ヶ月~ピッチング開始
キャッチャーを座らせての投球を開始
このようなスケジュールで手術後のリハビリは行われます。
※手術方法や医師の判断によってリハビリスケジュールは変わります。
再建した靭帯が定着するまで時間がかかるため、リハビリには必ず時間がかかり、約1シーズン競技復帰はできないとされています。
トミージョン手術のリハビリについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
トミージョン手術をすると球速が速くなる?

トミージョン手術をすると球速が速くなるという事を聞くことがあります。
トミージョン手術をして靭帯の緩みがなくなっただけでは球速が上がることはありません。
しかし、実際に復帰したプロ野球選手が手術前よりも球速が速くなっていることがあります。
これはリハビリ期間中にトレーニングをしたことで筋力が強化されたことによって球速が上がったと考えられています。
手術後のリハビリやトレーニングによって球速が上がることはあるかもしれませんが、手術をするだけで球速が上がることはありません。
重要なのは手術後のリハビリ期間に肘以外の部分の強化、柔軟性の向上、フォームの改善をすることです。
1年という長い時間を無駄にすることなくリハビリすることが競技復帰し、パフォーマンスの向上、再受傷の予防には大切です。
また、トミージョン手術は全国的にみても症例数の多い手術とは言えないため信頼できるドクター、理学療法士、トレーナーを選択して治療することが大切です。
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