ゴルフスイング中に最も使われている筋肉は?

今回紹介する論文は、ゴルフのスイング中にどの筋肉が活動しているか?について書かれた論文です。

身体にEMGという筋活動を測定する器具をつけてゴルフをスイング動作を調べた12本の論文をまとめています。

ゴルフをされている方だけでなく、ゴルファーのトレーニングやリハビリを担当しているトレーナーにも役立つ記事となっていますので、ぜひ目を通してみてください。

この記事は海外で理学療法を学んだプロのスポーツトレーナーが執筆しています。

このページの執筆者

中尾 優作 スポーツトレーナー/理学療法士

イギリスの大学、ベルギーの大学院で理学療法を学ぶ。国内外のプロスポーツクラブでトレーナーとして活動したのち、地元神戸でリハビリジム【ライフロング】を設立。トレーナー歴17年。

主な活動場所
⚫︎ 欧州サッカークラブ
⚫︎ B.LEAGUE
⚫︎ 東京2020オリンピック

スイング動作の分類

まず初めに、この論文ではゴルフのスイング動作を5つのフェーズに分けています。

スイング局面を分けて考えることによって、どの瞬間にどこの筋肉が活動しているか?を調べることができています。

スイング動作は以下の5つに分類されています。

バックスイング

クラブを頭上にあげるまで

フォワードスイング

クラブの振り初めからクラブが地面と平行になるまで

アクセラレーション

クラブが地面と平行になってからインパクトまで

フォロースルー前期

インパクトからクラブが地面と平行になるまで

フォロースルー後期

クラブが地面と平行になってからスイングが終わるまで

各スイングフェーズで使われる筋肉

それでは実際にゴルフの各スイングフェーズで主に活動している筋肉を紹介していきます。

バックスイング

上半身

左:肩甲下筋、僧帽筋上部

右:僧帽筋上部、僧帽筋中部

下半身

左:脊柱起立筋、腹斜筋

右:半膜様筋、大腿二頭筋長頭

クラブを頭上に上げるバックスイング局面では、特に僧帽筋の活動が高いようです。

回旋動作も起こるので、左半身では体幹の筋肉、右半身ではもも裏の筋肉という左右非対称の筋肉が働きます。

フォワードスイング

上半身

左:菱形筋、僧帽筋中部

右:大胸筋、前鋸筋上部

下半身

左:外側広筋、大内転筋

右:大臀筋、大腿二頭筋

クラブを振り下ろし始めるフォワードスイング局面では、左肩関節を外転させる筋肉と、右肩関節を内転させる筋肉が主に使われます。

下半身の筋活動では、後に引いた右の股関節を前に押し出すための筋肉が働いています。

アクセラレーション

上半身

左:大胸筋、肩甲挙筋

右:大胸筋、前鋸筋上部

下半身

左:大腿二頭筋、大臀筋、外側広筋

右:腹斜筋、中臀筋

スイングスピードが上がり、ボールを打つ直前のアクセラレーション局面は、ゴルフ動作の中でも特に重要な瞬間です。

クラブを早く振り下ろすために右の大胸筋が働きます。同時に、身体が振られてしまわないように、クラブがブレてしまわないように左の大胸筋も活動しています。

右の股関節は伸ばす動きからひねる動きを行う筋肉が活動するようになり、逆に左の股関節を伸ばす筋肉がこの局面では強く働きます。

フォロースルー前期

上半身

左:大胸筋、棘下筋

右:大胸筋、肩甲下筋

下半身

左:大腿二頭筋長頭、外側広筋

右:中臀筋、腹斜筋

フォロースルーの前期局面では、クラブがボールに当たり、ボールを強く押し出しながら身体が左向きに回旋します。

引き続き両側の大胸筋が主に活動しますが、身体が左向きに回旋するので右肩を内側にひねる肩甲下筋(内旋)と左肩を外側にひねる棘下筋(外旋)の活動が増加します。

下半身はアクセラレーション局面と同様の筋肉が使われています。

フォロースルー後期

上半身

左:棘下筋、大胸筋

右:肩甲下筋、前鋸筋

下半身

左:半膜様筋、外側広筋、大内転筋

右:外側広筋、中臀筋

フォロースルー後期局面では、上半身と下半身ともに身体の左回旋を止めるための筋肉が働いています。

ボールを強く打つためにひねった身体がそのまま流れてしまわないように、主に身体を右方向に回旋させる筋肉が活動しています。

まとめ

今回の論文では、ゴルフの各スイング局面においてどの筋肉が働いているか?を紹介していました。

研究結果を見ると、上半身では特に大胸筋の活動割合が非常に大きいという点が特徴的です。

多くのスイング局面において両側の大胸筋が働いているので、大胸筋を鍛えることでゴルフのパフォーマンス向上に役立ちそうです。

下半身では主に股関節を伸展させる臀筋とハムストリングスの活動割合が大きいです。

中でも注目すべきポイントは、まず初めに右の股関節伸展筋が活動し、次に右の股関節は回旋動作へと移行しながら、左の股関節伸展筋が活動し始めるという点です。

股関節を伸ばす筋肉がそれぞれ違ったタイミングで活動するということを頭に入れた上で、トレーニング種目を選ぶことが大切です。

 

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腰痛の女性をリハビリする理学療法士
※ 記事内のスイング画像も参考文献より引用
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