2024.03.07
坐骨神経痛
坐骨神経痛
執筆大澤 亮(理学療法士)
有名なスポーツ整形外科で主に手術直後のリハビリを担当。病院で培った臨床技術を活かし、ジュニアアスリートから高齢者の運動愛好家まで幅広い年代のリハビリを得意とする。自身のスポーツ歴は野球、バスケ、カヌー。
腰を反るとお尻から足までしびれる、長時間歩くと足が痛くて歩けなくなる、お尻から足にかけて走るような痛みがある、このようなお悩みを抱えている方は多いと思います。
このページでは神戸三宮で活動する理学療法士が、坐骨神経痛に関するこのようなお悩みを解決するための情報を紹介しています。
記事の内容
- 坐骨神経痛に関する最新情報を知りたい
- 坐骨神経痛を治す方法を知りたい
病院に通っても痛みが取れない、ストレッチの指導だけされたが一向に改善しないという方がよく相談に来られます。
このような治療で症状が改善されない原因は坐骨神経痛の複雑さや症状の原因が関わっています。
坐骨神経痛は同じ病名でも症状の出る位置、痛みやしびれの種類や程度など、同じ症状がないのが特徴です。
この特徴からその症状に合った治療や運動をしないとなかなか症状の改善は見られません。
この記事をご覧いただき、坐骨神経痛についての理解を深め、少しでもご自身の症状改善にお役立てください。
坐骨神経とは
坐骨神経とは人体で最も大きな神経になります。神経は脊椎と呼ばれる背骨から出ます。坐骨神経は腰椎という腰の高さの脊椎から始まり臀部後方を通り、大腿後方から膝の裏を通り、末端は脛骨神経となり足部まで走行します。
坐骨神経の働き
坐骨神経はハムストリングス、内転筋、腓腹部の筋肉を動かします。また、お尻から大体後面、足の外側、踵、足背、足底の感覚を感じる役目もあります。
坐骨神経痛とは
坐骨神経痛とは坐骨神経が圧迫などの障害を受けて腰、怪臀部~下肢にしびれや疼痛が出た症状のことを言います。つまり原因が腰、臀部、大腿部のどこであっても坐骨神経痛と診断されます。
坐骨神経痛の症状
坐骨神経痛で見られる主な症状は
- 腰痛
- 足やおしりのしびれ
- 足やおしりの痛み
- 足の脱力感やだるさ、異常感覚(ヒリヒリ、チクチクなど)がある
これらの症状がよく見られます。症状が出る場面は腰を反らしたり曲げる、長時間歩くとき長時間座っている・立っている等の場面で症状を訴える方が多いです。
これらの症状は坐骨神経が障害されることで坐骨神経によって痛みを感じる部位である腰、臀部、大腿後面、下肢にかけて痛みが出ます。
神経痛の特徴は放散痛という電気が走るような痛みが特徴的です。
坐骨神経痛の原因
坐骨神経痛とは坐骨神経が障害されて痛みが出ることを指すため様々な原因があります。
- 姿勢不良
- 筋力低下
- 股関節腰椎可動域低下
- 体重増加
- 腰椎疾患(例 腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群等)
等、様々な原因が考えられます。
また、原因が一つとは限らず筋力が低下したり、体重の増加によって、姿勢不良になる等様々な原因が関与することで痛みやしびれが出ていることが多いです。痛みを根本的に治療するためには原因を理解して取り除くことが重要になります。
坐骨神経痛の注意点
坐骨神経痛は坐骨神経由来の症状の総称であるため症状は同じでも原因はそれぞれ異なります。
- 腰を曲げると痛い人↔反らすと痛い人
- 立ってると痛い人↔座ってると痛い人
このように真逆の動きでも同じような症状が出るためしっかりと痛みが出る原因を突き止めなければ運動やリハビリをしても症状が改善しない、または悪化してしまう可能性があります。
坐骨神経痛の検査方法
画像診断
画像診断ではMRIを用いて、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症といった脊柱での障害を見つける際に重要となります。
しかし、画像上問題を発見できなくても症状がある場合もあり坐骨神経痛と診断されることも多いです。
疼痛誘発テスト
疼痛誘発テストでは坐骨神経を絞扼させたり、伸長させたりすることで坐骨神経痛の症状を誘発します。神経症状が現れる姿勢を見つけ出すことで絞扼している部位を確認し、どのような姿勢や動きが症状に関係しているのかを確認します。
簡易テスト
SLRテスト
上向きに転がり膝を伸ばしたまま足を上に挙げます。痛み、しびれが出現すれば陽性です。
ラセーグテスト
いすなどに座った状態から片方の足を伸ばします。この際痛み、しびれが出れば陽性です。また、痛みから逃げるように体が後ろにそれると陽性です。
坐骨神経痛の自覚症状があり、これらのテストが陽性なら1度専門機関への相談をお考え下さい。
坐骨神経痛の治療方法
坐骨神経痛の治療では原因が各々異なるため治療プログラムも原因に合わせて治療する必要があります。
例えば、姿勢が悪く筋肉が硬くなってしまっている方には筋肉の硬さをとることは当然ですが、姿勢の矯正をしないと繰り返し筋肉が硬くなり痛みを繰り返します。
ここでは坐骨神経痛の症状がある方に共通して多く見られる姿勢の悪さ、お尻の硬さ等の特徴に対してのストレッチ、運動を紹介します。これらを改善することで症状が和らぐ方もいます。
ハムストリングスストレッチ
- 足を延ばして座り、片膝を曲げる
- 伸ばしているつま先を触る
大殿筋ストレッチ
- 片方の足を曲げて体に近づけクロスするように反対足の膝を立てる
- 立てた膝を抱きかかえるように体に近づける
プランク
- うつ伏せで両肘とつま先を床につける
- 腰を上げて身体を一直線に保つ
これらの運動を行っても痛みやしびれが改善しない方は、専門家へ相談することをおすすめします。
坐骨神経痛まとめ
坐骨神経痛とは、坐骨神経が障害されることで痛みやしびれが出るという疾患です。
坐骨神経痛の症状
- 臀部から足にかけての痛み・しびれ
- 腰痛
- 下半身の脱力感
坐骨神経痛の原因
- 姿勢不良
- 筋力低下
- 股関節腰椎可動域低下
- 体重増加
- 腰椎疾患
坐骨神経痛の治療
- 姿勢改善
- 可動域の改善
- 動作改善
- 筋力トレーニング
坐骨神経痛の予防
- 股関節のストレッチ
- 姿勢矯正
- 動作改善
- 体重管理
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治療で痛みを改善するのは当然ですが、痛みの根本的な原因を治療することが大切です。
身体の痛みは、痛みのある部位だけが原因とは限りません。
例えば坐骨神経痛の場合は、筋力を強化し、負担がかからない動き方を習得することで、再発予防まで取り組みます。
怪我を治療しても再発予防まで徹底しないことには、再び坐骨神経を痛めてしまう可能性があります。
Lifelongの治療方針は痛みの改善だけでなく、怪我の原因を根本から改善することです。
痛みが出るたびに治療を受けるのではなく、痛くなる原因を改善して痛みが再発しない身体を目指しましょう。
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