2024.08.27
足底筋膜炎
足底筋膜炎のリハビリテーション
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。
足底筋膜炎は慢性的な怪我になりやすく、1年以上痛みが取れないという方も多いです。
様々な治療方法を試しても効果がなく、何か効果的な改善方法はないかという相談をよく受けます。
このページでは、神戸三宮でリハビリジムを運営する理学療法士が、足底筋膜炎のリハビリ方法について紹介します。
「病院に行っても治らなかった」という方々を専門に治療している理学療法士のリハビリなので、ぜひ参考にしていただき、少しでも症状の改善に役立てば嬉しく思います。
足底筋膜炎のリハビリを始める前に
足底筋膜炎を改善するためにまず大切なのが、自分の足底筋膜炎の原因を把握することです。
足底筋膜の硬さや筋力低下、もしくは姿勢や動き方など、何が原因で自分は足底筋膜炎になってしまったのか、を解明するのが先決です。
足底筋膜炎の原因に関してはこちらの記事にまとめてあるので、自分の身体状態を確認するためにも一度目を通してみてください。
>> 足底筋膜炎になる12個の原因
足底筋膜炎のリハビリ
それでは実際に足底筋膜炎のリハビリを紹介していきます。
自分の足底筋膜の状態に応じて、適切なリハビリを選ぶことが大切です。
もし慢性的に足底筋膜炎に悩まされていて、いろんな治療法を試したけど治らなかった、という方は、まだ試したことのないリハビリがないかも確認してみてください。
足趾の機能改善
足趾(足の指)が上手く使えていない人は、まず自分の指を思い通りに動かせるように練習しましょう。
これが思ったよりも難しく、特に足底筋膜炎に悩んでいる人はできない方が多いです。
足の指を思い通りに動かすというのは、足底筋膜の筋力や柔軟性を高めるより重要だと考えています。
なぜなら、足底筋膜は足の指を動かす筋肉の一部だからです。
まず足の指を上手く動かせるようになってから、次に筋力や柔軟性を高めるのが効果的です。
- 親指以外が動かないように押さえる
- 親指をできるだけ外側に開く
- 親指以外が動かないように押さえる
- 親指をできるだけ大きく反る
- 親指を押さえる
- 残りの指を大きく反るように動かす
内在筋の筋力強化
内在筋とは足趾の間についている小さな筋肉の総称です。
足には非常に小さな筋肉が多く付いていて、この小さい筋肉が足の安定性を高め、足底アーチを支えています。
小さいとは言え筋肉なので、筋力が低下すると機能も低下してしまい、足の正しい形や足底アーチを保てなくなってしまいます。
内在筋を鍛えることで足底の安定性が改善し、足底筋膜への負担を減らすことができます。
- 足の裏を地面に付ける
- 土踏まずを持ち上げるようにつま先をかかと側に引き寄せる
- タオルに足を乗せ、指を曲げてタオルを引き寄せる
内在筋のトレーニングによる足部機能の改善については、この論文でも紹介されています。
>> 足の内在筋トレーニングで足のバランス力や筋力が向上
足底筋膜の伸長性改善
足底筋膜は足の裏にある筋肉の一部なので、伸び縮みする伸長性があります。
そのため、硬くなった足底筋膜はストレッチで伸ばすことができます。
足底筋膜が硬いままだと、足裏への衝撃を上手く吸収することができないので、伸長性の高い状態を維持することが大切です。
足趾屈筋群のストレッチ
ふくらはぎの柔軟性改善
これは見落とされがちな観点ですが、ふくらはぎの柔軟性も足底筋膜炎に影響することがあります。
足底筋膜は踵骨というかかとの骨に付着していますが、ふくらはぎの筋肉もアキレス腱を通じて踵骨に付いています。
そのため、ふくらはぎの筋肉が硬くなってしまうと踵骨の動きを制限していまい、結果的に足底筋膜の動きを悪化させてしまいます。
足底筋膜の機能を保つためにも、ふくらはぎの柔軟性を改善することが大切です。
ふくらはぎのストレッチ
正しい荷重位置の習得
立っている時や運動している時に正しい位置に体重を乗せることは重要です。
足底の一部に偏って体重をかけてしまうと、足底のアーチが崩れて足底筋膜への負担が増える要因となってしまいます。
正しい荷重位置というのは、親指の付け根(母指球)、小指の付け根(小指球)、そしてかかとの3点に均等に体重をかけるのが理想的です。
この3点を線で繋ぐと三角形が出来上がり、その真ん中にちょうど土踏まずが来るので、そこに垂直に体重を乗せるイメージです。
※ スポーツによっては競技中にかかとを付かないことがあります。その時は母指球と小指球に半分ずつ体重を乗せるようにしましょう。
足底のどこか一部に体重をかけ過ぎてしまうと、この3角形が崩れてしまい、足底アーチも崩れてしまいます。
まずは片足立ちで正しい荷重位置を覚えてから、片足スクワットでも同じ荷重位置を保てる練習をしてみましょう。
歩行フォームの改善
歩き方も足底筋膜炎の原因となり得るので、正しい体重移動で歩行できるようになりましょう。
歩行時の理想的な体重移動は以下の通りです。
- かかとを着く
- 足の小指側に重心を乗せながら足裏を地面に付ける
- 重心を母指球に移しながら前に移動し、母指球で地面を押して前に移動する
足底筋膜炎の人に多いのが、上記2番を抜いてしまうことです。
かかとをついた後にすぐ母指球に重心を移してしまうので、その勢いで内側アーチを潰してしまいます。
しっかりとかかと、外側、そして母指球という順番で重心を移動させながら歩く意識が大切です。
まとめ
足底筋膜炎を改善するには、自分の足底筋膜がどのような状態か把握し、そして最適なリハビリを行うことが大切です。
安静にしたり痛み止めを飲むだけでは、足底筋膜の状態は変わりません。
少しでも状態を改善するために、低下してしまった機能を元に戻すように頑張りましょう。
足底筋膜炎を治すためにやってはいけないことに関してはこちらにまとめてあります。
>> 足底筋膜炎を改善するためにやってはいけないこと
足底筋膜炎についてより詳しく知りたい方は、こちらをぜひお読みください。
関連する記事
-
2024.10.08
足底筋膜炎にインソールは逆効果?理学療法士が解説
-
2024.08.27
足底筋膜炎のリハビリテーション
-
2024.08.26
足底筋膜炎を改善するためにやってはいけないこと