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Case Study 症状別事例

2022.06.07

足底筋膜炎

足底筋膜炎(足底腱膜炎)

執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)

ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。

スポーツをしていて足の裏に痛みが出たら、まず疑われるのは足底筋膜炎(足底腱膜炎)です。足底筋膜炎は治りにくく、再発の可能性も高い怪我なので注意が必要です。

このページでは神戸三宮で活動するスポーツトレーナーが、足底筋膜炎に関するこのようなお悩みを解決するための情報を紹介しています。

記事の内容
  1. 足底筋膜炎に関する最新情報を知りたい
  2. 足底筋膜炎を治す方法を知りたい

記事を読み終えると足底筋膜炎への理解が深まり、治すためには何が大切か?ということがわかるようになります。ぜひ正しい知識を身に付けて、1日でも早い痛みの改善に役立ててください。

足底筋膜炎とは?

足底筋膜炎は、その名のとおり足の裏にある足底筋膜という部位が炎症を起こす怪我です。

(https://tential.jp/journals/sole/plantar_fasciitis/001)

足底筋膜は地面に最も近い位置で身体を支えているので、ジャンプやダッシュで過度な負荷がかかってしまうことによって損傷してしまいます。

足底筋膜炎は常に体重がかかっている足底の怪我のため、一度痛みがなくなっても再発しやすい怪我です。痛みの原因を突き止め、完全に取り除くことが重要です。

それではまず、足底筋膜と炎症について確認しておきましょう。

足底筋膜

足底筋膜は踵の骨(踵骨)から足の指に付いている大きな筋膜です。筋膜とは筋肉を覆う膜のような組織で、ほとんど全ての筋肉は筋膜に覆われています。

足底筋膜は少し特殊な筋膜で、薄い膜ではなく非常に厚みのある筋膜になっています。足の裏を支え、地面からの衝撃を分散させる役目があります。

炎症

炎症を簡単に説明すると“腫れ”です。身体の一部が傷つくと、損傷した組織を治すために必要な栄養素や細胞が送られます。

これに加えて、傷ついた部位では毛細血管からの出血もあり、1箇所に大量の細胞や血液が集められることで大きく腫れてしまいます。

組織の損傷と、腫れによる神経の圧迫によって炎症した部分に痛みを感じてしまいます。

足底筋膜炎とは、足の裏にある足底筋膜の炎症による痛み

足底筋膜炎の症状

以下のような症状があると、足底筋膜炎が疑われます。

足底の圧痛

足底筋膜炎で最も多いのは足底の圧痛です。痛みの場所は人それぞれ違いますが、足の裏中央部や、踵に近い部分を触ると、痛みを感じる人が多いです。

歩行時の痛み

足底筋膜炎になると、歩くときに痛みを感じることが多いです。足底筋膜は足の裏に付いているので、体重をかけることで負担がかかってしまいます。

以前治療した患者さんには「靴を履くのも痛い」という方もいました。

午前中の強い痛み

筋膜も筋肉と同じように伸長性のある組織です。午前中だと身体が温まっていないこともあって、痛みが出やすいです。

午後になって足底の痛み軽減するようであれば、足底筋膜炎が疑われます。

運動の最初と最後が痛い

スポーツやジョギングで、動き始めと練習終わりに痛みが強く出やすいです。

例えば部活の練習だと、練習始めが痛みを感じやすく、練習中盤から後半にかけては痛みを感じませんが、練習が終わって身体が冷えると痛くなる、という特徴があります。

足底筋膜炎の原因

足底筋膜炎になってしまう原因は、大きく分けると以下の6つです。

足底筋膜への負荷

足底筋膜は身体と地面に接する部位なので、ジャンプやダッシュなどで地面からの衝撃を直接受けてしまいます。

繰り返される足底への負荷によって、徐々に足底筋膜が損傷してしまう原因になります。

扁平足

スポーツ用語ではフラットフット(Flat Foot)とも呼ばれますが、扁平足も足底筋膜炎の原因になります。足の裏には、骨や筋肉で構成された足底アーチと呼ばれる3つの支点があります。

通常であれば、この3つのアーチが地面からの衝撃をうまく分散させてくれるのですが、扁平足だとこのアーチが崩れてしまいます。

すると、足底に強い衝撃が伝わってしまい、足底筋膜を痛める原因となります。

足首の硬さ

足首が硬い人も足底筋膜炎にかかりやすいです。

足関節やアキレス腱が硬いと、足首がスムーズに動きません。すると、動きの悪い足首の代わりに、足底と足の指関節が必要以上に動いてしまいます。

足首を庇って足底の筋肉が働きすぎてしまうことで、足底筋膜への負荷が増加してしまいます。

肥満

体重が重いと、それだけ足底筋膜への負担が増えてしまいます。スポーツ動作では、体重の何倍という力が足底にかかるので、元の体重が思いほど足底筋膜炎になりやすいと言えます。

運動靴

運動靴が自分の足に合っていないと、足底へのストレスは増加してしまいます。特に、靴の中にあるインソールが自分の足底をしっかり支えているか?

靴底に十分なクッション性があるか?という点は大切です。

足底筋膜炎には様々な原因がありますが、足底に原因がある場合もあれば、足底以外が原因になっていることも多いです。痛みのある部位だけでなく、身体全体を調べて怪我の原因を見つけ出すことが大切です。

足底筋膜炎の原因についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>> 足底筋膜炎になる12個の原因

足底筋膜炎の治療法

足底筋膜炎の治療には、主に以下4つの方法が効果的です。自分が足底筋膜炎になった原因に合わせて、適切な治療法を選びましょう。

足底筋膜のストレッチ

足底筋膜炎に悩まされている方は足底筋膜自体がとても硬くなっていることが多いです。足底筋膜は非常に硬い筋膜ですが、伸張性のある組織なのでストレッチで柔軟性を取り戻すことができます。

おすすめの方法は、テニスボールやゴルフボールの上に足を乗せて、痛みの出ない範囲で体重をかけながら足裏でコロコロとボールを転がしてみましょう。

足底筋のトレーニング

足底筋膜だけでなく、足底に付いている小さな筋肉も足裏を支える重要な役割を持っています。足底の筋肉を鍛えることで、足底筋膜への負担を軽減することができます。

特に扁平足の人は、足底筋をトレーニングすることで、崩れた足底アーチを元に戻すことができます。

足底の筋肉の鍛え方については、こちらの記事をご参考ください。
>> 足の内在筋トレーニングで足のバランス力や筋力が向上

足首の可動域改善

足首が硬いと足底筋膜への負荷が増えてしまうので、足関節の可動域改善は重要です。

特に、足首の底屈と背屈の動きを改善することで、足底筋膜への伸長ストレスを軽減させることができるため、足底筋膜炎の治療では重要視されています。

アキレス腱のストレッチ

足首の可動域と同じく、アキレス腱の伸張性を増やすことも効果的です。アキレス腱は踵の骨に付着していますが、足底筋膜も同じ踵の骨に付いています。

アキレス腱が硬くなってしまうと、足底筋膜の動きを悪化させてしまうので、アキレス腱の柔軟性を保つことが大切です。

痛み止めは服用しないように!

怪我をしたら痛みを軽減するために、痛み止めを服用する方がいますが、これはやめた方がいいです。痛み止めは、”怪我を治す”薬ではなく、”一時的に痛みを減らす”ための薬です。

損傷した足底筋膜を修復するような効果はありませんので、注意してください。

足底筋膜炎を悪化させてしまう可能性のある事柄についてはこちらにまとめてあります。
>> 足底筋膜炎を改善するためにやってはいけないこと

治療のポイント
足底筋膜炎に限らず、怪我の治療で重要なのは、”痛み”ではなく”痛みの原因”を治療することです。
足底筋膜が一番の原因なのか?それともどこか別の部位が原因で足底筋膜に負担がかかっているのか?
“痛み”を軽減しても、”痛みの原因”を取り除かない限り完治することは難しいので、根本改善につながる正しい治療を受けるようにしましょう。

足底筋膜炎のリハビリについては、こちらのページでより詳しく解説しています。
>> 足底筋膜炎のリハビリテーション

足底筋膜炎の再発予防

足底筋膜炎は、一度痛みが引いても再発する可能性がとても高い怪我です。痛みが引いて運動を再開できるようになった後も、再発予防に取り組みましょう。

ストレッチの継続

足首やアキレス腱の硬さは足底筋膜炎の原因になります。一度柔軟性が上がったとしても、ストレッチや可動域訓練を継続しなければすぐ元に戻ってしまいます。

痛みが引いた後も引き続きストレッチに取り組むことで、足底筋膜炎を予防することができます。

足底の筋トレも継続

ストレッチ同様に、足底の筋トレも継続しましょう。筋肉はトレーニングをやめてしまうと筋力や筋持久力が低下してしまいます。

週に2回か3回で十分なので、習慣的に筋トレを継続することが大切です。

自分に合ったインソール

自分の足に合ったインソールを使用することで、足底への負荷を軽減させることができます。

インソールの良いところは、自分に合ったインソールさえ見つけることができれば、靴を変えても同じインソールを使えることです。靴の種類によって足底の形は様々ですが、同じインソールを使うことで足底筋膜への影響を最小限に抑えることができます。

ただし、市販からオーダーメイドまで幅広い種類があるので、自分向けのインソールを見つけるまでに時間がかかるかもしれません。

足底筋膜炎とインソールに関する情報はこちら
>> 足底筋膜炎にインソールは逆効果?理学療法士が解説

テーピングによる補助

テーピングは足首の捻挫だけでなく、幅広い怪我に有効です。足底筋膜炎用のテーピングを貼ることで、足底筋膜を支えてくれます。

注意点としては、テーピングはあくまで補助的に使うようにしましょう。普段はストレッチや筋トレで足底筋膜を調整して、試合のときだけテーピングを使う、というようにテープに頼り切らず、自分の身体を改善することがより大切です。

痛みが出たら休む

スポーツ復帰した後に、再び痛みを感じ始めたら一度運動をやめるようにしましょう。痛みが出るということは、足底筋膜炎の原因が正しく改善されていない可能性があります。

痛みを我慢しながら練習を続けても、高確率で痛みが増加してしまうので、勇気を出して早い段階で運動を中止しましょう。

足底筋膜炎は再発リスクの高い怪我なので、しっかりと再発予防を続けることが大切です。

”痛みの軽減”だけで終わらせずに、”足底筋膜炎の原因”を完全に取り除きましょう。

足底筋膜炎まとめ

足底筋膜炎とは、足の裏にある足底筋膜の炎症です。

足底筋膜炎の症状
  • 足底の圧痛
  • 歩行時の痛み
  • 午前中の強い痛み
  • 運動開始直後、終了後の痛み
足底筋膜炎の原因
  • 足底筋膜への負荷
  • 扁平足
  • 足首の硬さ
  • 肥満
  • 運動靴
足底筋膜炎の治療
  • 足底筋膜のストレッチ
  • 足底筋のトレーニング
  • 足首の可動域改善
  • アキレス腱のストレッチ
足底筋膜炎の予防
  • ストレッチの継続
  • 筋トレの継続
  • 自分に合ったインソール
  • テーピング

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治療で痛みを改善するのは当然ですが、みの根本的な原因を治療することが大切です。

身体の痛みは、痛みのある部位だけが原因とは限りません。

例えば足底筋膜炎の場合は、扁平足や足首の硬さによって足底筋膜への負担が増えることが主な発症原因です。

痛みを治療しても、痛みの元となる原因を取り除かないことには怪我が再発してしまいます。

Lifelongの治療方針は痛みの改善だけでなく、怪我の原因を根本から改善することです。

痛みが出るたびに治療を受けるのではなく、痛くなる原因を改善して痛みが再発しない身体を目指しましょう。

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