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Case Study 症状別事例

2023.09.29

肉離れ

肉離れ

執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)

ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。

肉離れはスポーツでよく見られる筋肉の怪我です。 特に多いのは、太ももの裏側にあるハムストリングスという筋肉の肉離れです。

全力疾走や、ジャンプした際に怪我することが多いですが、正しい治療を行わないとクセになり、再発リスクが非常に高い怪我でもあります。

この記事では、肉離れの説明から治療法予防まで詳細な情報を最新のエビデンスと共に紹介しています。

後遺症を残さず、安心してスポーツや日常生活に復帰できるように、活用いただきたいです。

肉離れとは

肉離れを簡単に説明すると筋肉の損傷ですが、この怪我を理解するにはまず筋肉の構造を知ることが重要です。

筋肉はゴムのように伸縮性のある組織で、身体と関節の位置や動きによって伸び縮みします。

正確には筋肉が伸び縮みすることによって関節が動き、人間は歩行やジャンプといった動作を行うことができます。

筋肉は筋繊維という細い組織が集まって1つの筋肉を形成しています。

例えると、100本の筋繊維が集まって1つの筋肉になっているというイメージです。

肉離れはこの筋繊維の損傷、ひどい場合には1つの筋肉が断裂してしまう怪我です。

損傷の重症度によって1度から3度の3段階に分けられます。

1度

  • 軽度の肉離れ
  • いくつかの筋繊維の損傷
  • 全治約2-3週間

2度

  • 中度の肉離れ
  • 多くの筋繊維の損傷
  • 筋肉の断裂はなし
  • 全治約3-6週間

3度

  • 重度の肉離れ
  • 筋肉の完全断裂
  • 手術が必要な場合も
  • 全治約3ヶ月

肉離れの原因

肉離れをしてしまう原因には筋肉自体の問題動きの問題があります。

肉離れの原因
  1. 筋肉の伸長性が低い
  2. 筋肉が伸ばされた状態で収縮する
  3. 運動前の準備ができていない

1. 筋肉の伸張性が低い

肉離れが最も起こりやすい瞬間は、筋肉が強く伸ばされストレッチされているときです。

筋肉はゴムのように伸び縮みする性質がありますが、実際のゴムと同じように伸ばしすぎると切れてしまいます。

身体が硬いとも言い換えられますが、筋肉の硬い人は肉離れを起こしやすいです。

筋肉の硬さ ➡︎ 肉離れの原因

例えば座った状態で180度開脚ができる人は、内転筋という太もも内側の筋肉はとても柔らかく、肉離れを起こしにくいです。

逆に開脚で90度しか足を開けない人は、足が90度以上開いたときに肉離れを起こす危険が高くなります。

スポーツ中の急な動きや、雨のグラウンドで足を滑らすなど、不意な動きで足が開きすぎてしまったときに、筋肉が伸ばされすぎて肉離れを起こす危険があります。

2. 筋肉が伸ばされた状態で収縮する

肉離れが起こる要因には筋肉自体が原因の場合もありますが、肉離れしやすい動きというものも存在します。

筋肉は基本的に収縮すると縮んで関節を動かします。

例えばダンベルを持って上腕二頭筋を収縮させると肘が曲がり、ダンベルを持ち上げることができます(コンセントリック収縮)。

これとは逆に、筋肉が伸ばされながら収縮する(イーセントリック収縮)という動作があり、この動作は肉離れがとても発生しやすい動き方になります。

筋肉が縮む ➡︎ コンセントリック収縮
筋肉が伸びる ➡︎ イーセントリック収縮

解剖学やバイオメカニクスの分野になってしまうのですが、例えば走っている時の接地足ジャンプ前にかがみ込んだときのふくらはぎとハムストリングス、そしてストップ動作などが肉離れを起こしやすいイーセントリック収縮が起こる動作です。

3.運動前の準備ができていない

運動をする前にはウォーミングアップなどをして、筋肉の温度を上げておくことが重要です。

筋温が高い方が筋肉は円滑に働くことができ、伸張性も上がります。 準備というのは1回1回の練習や試合前のことだけではありません。

研究によると、オフシーズン中に身体の準備ができていない選手は、シーズン中に怪我をするリスクが大きく上昇するという結果が報告されています。

運動前だけでなく、日頃から身体の準備を整えることが、肉離れの予防になります。

肉離れの症状

肉離れを起こすと以下の症状が見られます。

  • 痛み
  • 伸張痛
  • 収縮時痛
  • 熱感
  • 内出血

痛み

肉離れをした直後には強い痛みがあります。

特に重度の肉離れをしたら激痛が走り、脚の肉離れの場合には歩くこともできないほど強い痛みが出ることもあります。

痛みは鋭い痛みを感じることが多く、鈍痛や重だるい痛みを感じることは珍しいです。

伸張痛

肉離れの多くは筋肉を伸ばし過ぎたことが原因で起こります。

同様にストレッチをすると痛めた筋肉をさらに伸ばしてしまうことになるので痛みが発生します。

打撲では伸張痛が出ることは珍しいので、ストレッチをして痛いかどうかが、打撲と肉離れを判別する一つの判断基準になります。

収縮時痛

痛めた筋肉の筋繊維が損傷しているので、筋肉を収縮させると痛みが発生してしまいます。

専門的に評価すると、肉離れのときはコンセントリック収縮よりもイーセントリック収縮で痛みが発現しやすいです。

熱感

筋肉が損傷すると、損傷した筋繊維を治すために炎症反応が起こります。

これは本来人間に備わっている自己修復機能ですが、炎症が起こっている部位を直接触ると他の部位よりも熱を持っていることが感じられます。

内出血

これも筋肉の損傷によって起こる症状ですが、筋繊維の中には多くの毛細血管が流れていて、筋繊維が損傷すると毛細血管も一緒に傷ついてしまいます。

破れた毛細血管から血が流れ出ることで、痛めた筋肉の周りで血が溜まり、内出血を起こします。

肉離れを起こしてから2、3日後に皮膚が赤黒く変色した場合は、その内側で内出血が起こっている証拠です。  

肉離れの症状についての詳しい説明は以下の記事に詳細をまとめてあります。

肉離れの応急処置

肉離れに限らず、怪我をしたらPEACE&LOVEという対処法を行うことが最新医学では最適とされています。

※ 以前はRICE処置が応急処置に勧められていましたが、これは20年以上前の理論です。

PEACE&LOVEという対処法は、怪我した直後の応急処置の”PEACE”と競技復帰に向けた”LOVE”に分けられます。

捻挫の応急処置”PEACE”

まずは応急処置のPEACEを説明します。

PEACEの頭文字を順番通りに処置することで、最適な応急処置を行うことができます。

  •  Protection(保護): 怪我した部位を動かさない
  •  Elevation(挙上): 怪我した部位を高く挙げる
  •  Avoid Anti-Inflammatories(抗炎症薬を避ける): 痛み止めやアイシングをしない
  •  Compression(圧迫): 弾性包帯で腫れを抑える
  •  Education(教育): 最適な対処法を患者に教える

捻挫から競技復帰までの”LOVE”

捻挫の応急処置が終わったら、競技復帰に大切なLOVEを行います。

こちらは復帰するためにどのようなことが必要か?をまとめているので、順番は気にしなくて大丈夫です。

  •  Load(負荷): 徐々に負荷をかける
  •  Optimism(楽観思考): 自信を持ち、前向きになる
  •  Vascularisation(血流増加): 血流を上げて回復を早める
  •  Exercise(運動): 身体機能を回復させる

肉離れの応急処置で注意することは、筋肉を伸ばさずに、縮めた状態で処置を行うことです。

例えば太ももの裏側にあるハムストリングスを肉離れした場合は、うつ伏せになり膝を曲げた状態で痛みのある部位にアイシングや圧迫を行います。

肉離れは筋肉が伸ばされて損傷する怪我なので、伸びすぎた筋肉を元の長さに戻すように、筋肉が緩んで縮まった体勢で処置するようにしましょう。

肉離れの治療方法

肉離れを治すには段階的な治療とリハビリが大切です。

筋肉の怪我は治療を慎重にし過ぎると、筋肉内に瘢痕組織というしこりのようなものができてしまいます。

瘢痕組織のある筋肉は伸張性が悪くなり、肉離れの再発リスクが非常に高くなってしまいます。

一方で治療を急ぎ、筋繊維が治りきる前に負荷をかけ過ぎてしまうと、損傷して弱くなった筋肉を再度痛めてしまう危険性があります。

肉離れの治療では無理のない範囲で徐々に筋肉への負荷を高めていくという見極めが重要なポイントになります。

適切な負荷をかけることで、後遺症と再発を予防できる

ストレッチ

肉離れをした筋肉を伸ばすと痛みが出るので、怪我した直後はストレッチをしないほうがいいですが、数日して炎症が落ち着いたら出来るだけ早く無理のないストレッチを始めます。

筋肉をストレッチせずに痛みがなくなるまで放置してしまうと、瘢痕組織が形成され、再発リスクが大きく上がります。

筋肉は本来伸び縮みする軟部組織なので、伸張性を取り戻しながら治すことが大事です。

始めは筋肉の伸びを感じないくらい軽度のストレッチから開始して、徐々に大きく伸ばしていきましょう。

少しでも痛みが出たら伸ばし過ぎているサインなので、痛くない範囲で伸ばすようにしてください。


筋トレ

肉離れをすると、痛めた筋肉の筋力が低下してしまいます。

筋力が弱いままだと、痛みが引いたあとも再発のリスクが高くなってしまいます。

同じ怪我を繰り返さないためにも、我をしていない側と同じ筋力に戻るまで筋トレを継続することが大切です。

少し専門的に説明すると、最初は筋繊維の長さが変わらないアイソメトリック収縮から始め、コンセントリック収縮、イーセントリック収縮と進めていくと、安全を考慮した上で段階的に筋肉を鍛えることができます。

ハムストリングスの肉離れに対するリハビリは、以下の記事で最新のエビデンスをもとに解説しています。

注意が必要なこと

お風呂

お風呂に入ると体温が上がり、身体の血流も上がります。

肉離れ直後は痛めた部位の毛細血管が破れて血が流れ出ている状態なので、血流が上がるとより多くの血液が流れて腫れが大きくなってしまい、損傷した筋肉の治りが遅くなってしまいます。

受傷後3日ほどはシャワーにしておくことをおすすめします。

ロキソニン(痛みどめ)や湿布

痛み止めや湿布は痛みを抑える効果がありますが、損傷した筋肉を修復する作用はありません。

感じる痛みは減りますが、怪我が治っているわけではないです。

特に肉離れの治療でストレッチや筋トレを行うときには、痛みのない範囲で行うことが重要なポイントです。

もし痛み止めを飲んでしまうと、本当は痛みを感じて止めるべきところで痛みを感じずに無理をし過ぎてしまい、筋肉に負荷をかけ過ぎて悪化させてしまうこともあります。

怪我した直後で痛くて眠れないときなど必要に応じて服用する分には大丈夫ですが、痛み止めは治療薬ではないことに十分注意してください。

肉離れの予防

肉離れの予防で重要なことは、筋力の強化伸張性の向上です。

筋力強化

肉離れが最も起こりやすい状況は、筋肉のイーセントリック収縮時です。

筋肉が伸ばされながら力を発揮するときに、筋肉への負荷が強くなります。

この負荷に耐えるためには、筋肉自体の強化が重要です。

特に肉離れの予防のためには、イーセントリック収縮を使って筋トレすることが効果的です。

ハムストリングスを始めとした肉離れの予防には、以下の記事が役立つと思います。

ストレッチ

筋肉が伸ばされることも、肉離れを起こしてしまう大きな要因です。

普段からストレッチを行い、筋肉の伸張性を上げておくことで、不意に筋肉が伸ばされすぎてしまうことを予防することができます。

特に肉離れを起こしやすいハムストリングスや腓腹筋は、日常的にストレッチする習慣をつけましょう。

肉離れのまとめ

肉離れとは、筋肉を構成する筋繊維の損傷または断裂です。

肉離れの症状
  • 筋肉の痛み
  • 伸長痛
  • 収縮時痛
  • 熱感
  • 内出血
肉離れの原因
  • 伸長性の低下
  • イーセントリック収縮
  • ウォーミングアップ不足
肉離れの治療
  • ストレッチ
  • 筋トレ
  • 適切な応急処置
肉離れの予防
  1. 筋力強化
  2. ストレッチ

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身体の痛みは、痛みのある部位だけが原因とは限りません。

例えば肉離れの場合は、損傷した筋肉の痛みを取るだけでなく、その筋肉に負担がかかっている原因を改善します。

痛みを治療しても再発予防まで徹底しないことには、また同じ筋肉を肉離れしてしまう可能性があります。

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痛みが出るたびに治療を受けるのではなく、痛くなる原因を改善して痛みが再発しない身体を目指しましょう。

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