2022.11.09
理学療法
【膝骸骨の最新情報】膝蓋大腿靭帯、膝蓋半月靭帯、膝蓋脛骨靭帯の機能・症状を解説
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。

膝には多くの靭帯が付いていて、膝関節の安定性を高めています。
特に有名な靭帯は以下の4つです。
- 前十字靭帯
- 後十字靭帯
- 内側側副靭帯
- 外側側副靭帯
最近では、これらの靭帯以外にも膝蓋骨(お皿)に付着する3種類の靭帯が話題になることが多くなりました。
その靭帯は膝蓋大腿靭帯、膝蓋半月靭帯、膝蓋脛骨靭帯と言いますが、古い解剖学の本には載っていません。また日本語でこれらの靭帯を検索してみても、詳しい情報が見つからなかったのでこの記事を書くことにしました。
この記事では膝蓋骨に付着する膝蓋大腿靭帯、膝蓋半月靭帯、膝蓋脛骨靭帯の解剖学的な情報と機能を紹介しています。
近年新たに靭帯として認識された新しい靭帯の情報を知りたい方はぜひご一読ください。
参考文献は以下の論文です。


膝蓋骨に付着する靭帯の解剖学
今回紹介する膝蓋大腿靭帯、膝蓋半月靭帯、膝蓋脛骨靭帯は、それぞれ内側と外側についているので、合計で6本の靭帯になります。
まずはこれらの靭帯がどこに付着しているのか確認してみましょう。

① 外側膝蓋大腿靭帯
膝蓋骨外側中央から大腿骨外側上顆
② 外側膝蓋半月靭帯
膝蓋骨外側下部から脛骨外側顆
③ 外側膝蓋脛骨靭帯
膝蓋骨外側下部から脛骨外側顆
④ 内側膝蓋大腿靭帯
膝蓋骨内側中央から大腿骨内側上顆
⑤ 内側膝蓋半月靭帯
膝蓋骨内側下部から内側半月板前方中央
⑥ 内側膝蓋脛骨靭帯
膝蓋骨内側下部から脛骨内側顆
これらの靭帯は他の膝に付着している靭帯と比べてとても小さいため、あまり重要視されないためか、解剖学書にも細かく記載されていないことがほとんどです。
しかし、膝関節と膝蓋骨の安定性には重要な役割を果たしている靭帯なので、小さくてもこのような靭帯が存在しているということを頭に入れておくことが、膝のリハビリでは大切です。
膝蓋骨に付着する靭帯の機能
これらの膝蓋骨に付着している靭帯の主な機能は、外側ストレスに対する膝蓋骨の安定化です。
わかりやすく言うと、お皿が外側に脱臼するのを防ぐ役割があります。
例えば膝蓋骨を外側方向へ押したとき、内側に付着している内側膝蓋大腿靭帯、内側膝蓋半月靭帯、内側膝蓋脛骨靭帯が膝蓋骨を内側に引っ張ることで、膝蓋骨の脱臼を防いでいます。
膝蓋骨が内側方向へ動いたときも同様に、外側に付着している靭帯が膝蓋骨を支えています。
例えば、一度膝蓋骨を脱臼してしまった後にこれらの靭帯が上手く治っていないと、繰り返し膝蓋骨を脱臼してしまうクセがついてしまい、膝の安定性が大きく低下します。
どれも小さな靭帯ですが、膝の機能と安定性を保つためには重要な役割のある靭帯です。
靭帯が損傷したときの症状

上記の機能により、膝蓋骨の内外側に付いている靱帯が損傷したときは、以下のような症状が見られます。
膝蓋骨の脱臼
膝蓋大腿靭帯、膝蓋半月靭帯、膝蓋脛骨靭帯はどれも膝蓋骨の外側ストレスに対する安定性を担う靭帯です。
そのため、これらの靭帯が損傷や断裂をしてしまうと膝蓋骨が外側や内側に動きすぎてしまい、膝蓋骨脱臼という怪我につながってしまいます。
膝蓋骨の脱臼は膝を大きく曲げながら捻る動作の多いスポーツ(バスケ、ラグビー、バレエ、ダンスなど)で起こりやすいです。特に女性の学生アスリートは膝蓋骨を脱臼しやすいと言われています。
膝前面の痛み
膝蓋半月靭帯と膝蓋脛骨靭帯は膝蓋骨から膝の前面に付着しているため、このどちらかの靭帯を損傷すると膝の前面に痛みが出ると報告されています。
膝前面の靭帯は捻るなどの動作で痛みが出ることよりも、打撲などの直接的な衝撃によって痛めることが多いです。
膝の不安定感
2011年に発表された論文によると、膝蓋半月靭帯を損傷すると膝が不安定に感じるという結果が出ています。
特に体重をかけた状態で膝が完全伸展(真っ直ぐ伸びた状態)のときに不安定感が出るとされています。
膝骸骨の最新治療のためには理解を深めましょう
今回は膝蓋骨にある「膝蓋大腿靭帯」、「膝蓋半月靭帯」、「膝蓋脛骨靭帯」という3種類の靭帯について場所、機能、損傷した時の症状について紹介しました。
これらの靭帯は、膝骸骨の内側と外側に付着しているため、主に膝蓋骨への外側ストレスに対して膝蓋骨を安定させる役割があります。損傷すると膝蓋骨脱臼や膝前面の痛み、膝の不安定感という症状が出るようになります。
まだ日本の解剖学では馴染みのない靭帯ですが、膝蓋骨脱臼や膝の手術後の治療・リハビリには重要な靭帯です。治療や回復を目指す方は、ぜひ覚えておくようにしましょう。

Lifelongでは、国内海外での経験より、最新の治療法を用いて膝蓋骨脱臼などの運動療法によるリハビリ・怪我からの回復をサポートしています。原因不明の膝の痛みや手術後の後遺症にお困りの方は、ぜひLifelong神戸三宮にお気軽にご相談ください。
膝に関する運動療法での治療体験はこちらもご覧ください。
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