2024.09.19
前十字靭帯損傷
前十字靭帯が伸びるってどういうこと?
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。
前十字靭帯が伸びたという表現を聞くことがありますが、靭帯は実際に伸びるものなのでしょうか?
この記事では神戸三宮で活動する理学療法士が、前十字靭帯が伸びるという表現が何を意味しているのかを説明していきます。
結論から言うと、”靭帯が伸びる”とは”靭帯を痛めた”と同じ意味で使われます。
それではより詳しく解説していきます。
前十字靭帯は伸びる?
まず初めに、前十字靭帯は実際に伸びるのか?を説明します。
そもそも靭帯とは、身体中の関節にある軟部組織です。
とても硬いゴムのような組織で、骨同士を繋げて関節を安定させる役割があります。
そのため、多少の伸長性はありますが、筋肉のように伸び縮みする組織ではありません。
まとめると、靭帯は少し伸びることはできるが、伸びることが目的の軟部組織ということではないです。
前十字靭帯も他の靭帯と同じで、多少伸びることができる構造ではあるけれど、伸ばす必要のないものです。
前十字靭帯が伸びるとは?
それではよく聞く”靭帯が伸びる”とはどういう意味でしょうか?
この”伸びる”が意味しているのは、靭帯が外力によって伸びすぎてしまい、損傷してしまったということです。
なので、前十字靭帯が伸びるとは、前十字靭帯の損傷を意味します。
靭帯は筋肉や皮膚とは違い、一定以上伸びると切れてしまいます。
そして損傷した靭帯は元の長さに戻ることはありません。
伸びてしまった靭帯は伸びたままになるので、関節の安定性も低下してしまいます。
筋肉のように、伸びすぎて肉離れをしてもリハビリによって元の状態に戻る、ということはないので注意が必要です。
前十字靭帯が伸びてしまったら?
一度伸びてしまった前十字靭帯は自然に元の長さに戻ることはありません。
そのため、靭帯が伸びてしまった後もどの程度関節の安定性が残っているかが重要です。
前十字靭帯が伸びても断裂まではいかなかった場合、必ずしも手術が必要ということはありません。
日常生活やスポーツ活動で支障のないレベルの安定性があれば、保存療法だけで大丈夫な場合が多いです。
ただし、高いレベルでのスポーツ競技や対人競技の場合は、例え前十字靭帯が断裂していなくても、関節が不安定であれば手術を勧められることがあります。
こればかりは損傷の程度と希望する身体機能レベルによって判断されることになります。
まとめ
一般的に表現される”前十字靭帯が伸びる”とは、前十字靭帯の損傷を意味します。
前十字靭帯は多少伸長性のある軟部組織ですが、伸びすぎると切れて損傷してしまいます。
靭帯が伸びてしまうと、手術をしなければ治らない可能性もあるので注意が必要です。
前十字靭帯の怪我についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
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