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Case Study 症状別事例

2021.05.27

肉離れ

肉離れの症状

執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)

ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。専門は"病院で治らなかった身体の痛み"のリハビリ。

スポーツ中に起こる怪我で代表的な肉離れ

身体を痛めてしまったときに、それが肉離れかどうかを判断するには痛めた部分の症状を確認することが大切です。

今回は肉離れの症状について、怪我をしたら身体に起こる生理学的な反応も含めて細かく紹介していきます。

肉離れの症状 – 痛み –

肉離れを起こしてしまったときに、まず感じるのは鋭い痛みです。

肩こりや腰痛のような重だるい痛みではなく、怪我した部分に鋭く強い痛みを感じます。

痛みの強さは怪我の程度によって異なりますが、重度の場合は歩くこともできなくなることもあります。

筋繊維の部分的な損傷である1度の肉離れだと、受傷直後に少し痛みが出ますが、しばらくすると違和感を感じる程度になることもあります。

肉離れで最も重度の3度損傷、筋断裂が起こってしまったら、痛めた部位を動かすことができないほどの激しい痛みが出てしまいます。

特にこの3度損傷の肉離れが起きたときの症状としてよく聞くのが、怪我をした本人が『ブチッという何かが切れる音がした』ということです。

変な音が鳴った瞬間に強い痛みとともに足が急に動かせなくなった、というアスリートの体験談を聞いたこともあります。

走ったり、跳んだりする競技を行っているスポーツ選手がハムストリングスや大腿四頭筋などの太ももの筋肉を肉離れすることは非常に多いです。

他にもふくらはぎの筋肉を痛めたり、足を開きすぎた際に内転筋を肉離れする、というケースも頻繁に見られます。

肉離れの症状 – 伸張痛 –

肉離れは筋肉が伸ばされすぎた際に筋繊維が損傷することが原因で起こる怪我です。

筋肉が縮んでいるときに肉離れが起こることは極めて稀です。

伸ばされすぎて切れてしまった筋肉をストレッチなどで伸ばしてしまうと痛みを感じることは、わかりやすい症状だと思います。

肉離れで伸張痛が発生することは当たり前のように思われますが、この症状があることで打撲と区別することに役立ちます。

打撲も肉離れと同じく筋肉の損傷ですが、打撲は外的な力が加わって起こります。

例えば一般的に”ももかん”と言われている太ももに相手の膝が入る怪我も、病院での診断名は打撲になります。

他にも野球で肩にデッドボールが当たったとしても、肩の筋肉の打撲として扱われます。

打撲と肉離れは症状が似ているので、明確な受傷原因がわからないときは判別が難しいです。

サッカーの試合が終わった後にお尻に痛みがあるけど、試合中は痛みを感じずにプレイしていて、いつどこで痛めたかわからない、ということはよく起こります。

このような場合に、例えば痛みのある筋肉が中臀筋だとすると、中臀筋を触っても収縮させても痛みが出るのは肉離れも打撲も同じです。

しかし、打撲のときは筋肉をストレッチしても痛みが出ないことが多いです。

なので、筋肉の怪我で症状として圧痛、収縮時痛に加えて伸張痛があるときは、打撲よりも肉離れの可能性が高いと判断することができます。

ただし、これは打撲と肉離れを完璧に区別できる方法ではないので、数ある確認方法の一つとして覚えていただけたらと思います。

肉離れの症状 – 収縮時痛 –

収縮時痛というのは筋肉を動かしたときに痛いという意味です。

例えば、身体の側部には腹斜筋という腹筋がありますが、この筋肉が肉離れを起こすことがあります。

腹斜筋は身体を回す回旋という動きで主に使われますが、肉離れした状態だとこの回旋運動で肉離れした箇所に痛みを感じてしまいます。

収縮時痛が発生するメカニズムはとても簡単です。

1つの筋肉は複数の筋繊維が集まった状態の軟部組織で、端から端まで繋がっています。

肉離れが起こると筋繊維が損傷し切れてしまいますが、この状態で筋肉を収縮させると切れている筋繊維も伸び縮みしてしまうため痛みを引き起こしてしまいます。

肉離れのときは痛めている筋肉を伸ばしても縮めても痛みが出てしまうので、痛みが強いときは痛みの出ない範囲で動かすことが大切です。

肉離れの症状 – 熱感 –

肉離れを起こした筋肉は熱を持ち、他部位の皮膚と比べて温かくなります。これは損傷した筋肉を修復するために炎症反応が起こるためです。

炎症は一般的に”腫れ”とも呼ばれますが、怪我した部位が腫れること自体は悪いことではありません。

肉離れを起こすと筋繊維が損傷し、周囲の軟部組織も一緒に壊れてしまいます。

筋繊維だけではなく、毛細血管や筋肉を覆う筋膜など様々な組織が損傷し、その壊れた全ての組織を治すために炎症が起こります。

炎症反応はそもそも壊れた組織を修復するために起こる現象です。

人間の身体は自己修復機能が備わっていて、怪我を治すだけではなく、病気になったときも身体を正常な状態に戻すために体内のウイルスを取り除く働きを持っています。

肉離れが起こり、壊れてしまった組織を修復するためには多くの栄養と細胞が必要になります。

これらの必要物資を損傷箇所にいち早く届けるために、身体は血流を上げて怪我した部位に送り届けます。

そのため、上昇した血流と組織を修復する炎症反応によって熱が生まれるので、肉離れを起こした部位に熱感を感じることができます。

肉離れの症状 – 内出血 –

内出血も肉離れの症状としては非常に一般的です。筋肉が損傷した際に筋肉内にある毛細血管が破れてしまうので、筋肉内で出血が起こります。

先の熱感で説明したように、損傷した組織を修復するための栄養などが上昇した血流に乗って傷ついた筋肉に運ばれてきます。

組織を治すための物資が運ばれてくるのはいいことですが、運ばれた先にある毛細血管も壊れてしまっているので、流れてきた血液が漏れてしまいます。

血管から漏れ出した血液は筋肉内に溜まり、やがて筋肉に吸収されますが、筋肉以外の場所に血が溜まってしまうことがあります。

血液が皮膚に近い場所まで流れ出して留まったときには、一般的に青あざと呼ばれるあざが皮膚に現れます。

なので青あざになった部分を怪我していなくても、他の怪我した場所から血が流れてくることによって、損傷のない部位に青あざができることがあります。

青あざは皮膚下に見られる内出血なので見つけやすいですが、目では見えない筋肉の内部にも内出血が存在することも多いので、肉離れした筋肉を強く動かしたり、揉んだりすることは避けたほうがいいです。

まとめ

今回の記事では肉離れの際に見られる主な症状を細かく紹介しました。

特に伸張痛の有無は、同じ筋肉の怪我である打撲と肉離れを区別する際に参考となる症状なので、覚えていただけたらと思います。

しかし、打撲の際も伸張痛が出たり、伸張痛の出なくても肉離れしていることがあるので、一つの指標として使っていただければと思います。

今回挙げた5つの症状が全てが当てはまらないと肉離れではない、ということではありません。

5つのうち2つか3つの症状が当てはまったら十分肉離れが疑われますので、必要に応じて専門家に相談してください。

肉離れの基本的な説明、原因、治療については以下の記事をご覧ください。

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