2024.04.10
インタビュー
『ここに来る前はお湯の入ったポットも持てなかった』運動療法による肩関節唇損傷改善の感想
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。
レイラさんは肩関節唇の損傷にお困りで当店をご利用いただきました。
腕を上げると強い痛みを感じてしまい、肩より高く手を挙げるのが非常に大変でした。
痛みはとても強く、相談にこられたときは「湯の入ったポットを持つこともできない」と言われるほど。
お湯お身体の状態を確認すると、まず上半身の前面の筋肉が硬くなり、猫背の姿勢になっていました。
また、肩を動かすときは肩周りの大きな筋肉を使いすぎ、関節を安定させるための小さな筋肉が機能していない状態でした。
これが原因で肩甲骨と腕の関節角度が悪くなってしまい、肩を動かすたびに関節唇を挟んでしまっているのが痛みの原因でした。
運動療法では硬い筋肉をストレッチし、機能していない筋肉と鍛え、正しい角度での肩の動かし方を練習いただき、1ヶ月も経たないうちに痛みは大幅に軽減しました。
病院や接骨院の治療では改善しなかった肩の痛みが良くなった感想をレイラさんに伺いました。
レイラさん
- 左肩関節唇損傷と診断
- 病院や接骨院のリハビリでは改善せず
- 痛みが強く物も持てない
- 日常生活も趣味の運動も満足にできず
Lifelongの利用目的
だからここを見つけて、特に英語で話せるということもあって行ってみようと思った。
ここのリハビリでは筋力の強化を大切にしていて、マッサージのようなリハビリでなく筋肉を鍛えられる、だから試してみようと思った。
あと、私の息子が膝の怪我を診てもらって良くなっていくのを見てたのも一つの決め手になった。実際、息子にも通うべきだと勧められたの。
そもそも痛みの原因が肩関節の中にある関節唇という組織の損傷だったので、直接触ることができない部位へのマッサージでは改善が難しかったと思います。
Lifelongの運動療法では、肩関節の強化だけでなく、関節唇に負荷がかかりすぎないようにスムーズな肩の動かし方を覚えることを目指しました。
Lifelongを選んだ理由
あと、身体全体を見てくれていて、それぞれの筋肉を繋げて考えている。一つの筋肉だけを集中して鍛えることはしない。そこも他との違い。
1対1でしっかり見てくれるのも、他にはないリハビリなのも好きだし、人に合わせて運動メニューを変えてるのも良い。ここには全員に渡すメニューは無くて、一人一人が違ったリハビリプログラムを持っている。
どこかの筋肉や組織が悪くなっていたわけではなかったので、いくらマッサージしても痛みが改善しなかったのだと思います。
リハビリを行う上でまず初めに、”痛みの原因”を突き止めるのが非常に大切です。
何が原因で何を改善したら痛みがなくなるのか、がわからないと改善は見込めません。
また、一人一人の身体は全く違うので、症状によって決まったリハビリをするのではなくて、その人に合わせたオーダーメイドのリハビリメニューを提供することが、早期改善へとつながります。
運動療法の感想
初めてここに来たときは痛みが強かったけど、運動していくにつれて肩の周りに筋肉が付いてきて、前よりも簡単に動かせるようになった。
メニューが同じじゃないのも好きなところで、毎回同じ運動、同じ重さでトレーニングするのではなく、1ヶ月の間に種目も変えてくれるから飽きることもない。
ここに来るたびに新しい学びがあるし、自分の身体が変わり続けている感覚がある。常に新しいチャレンジができている。
痛みなく動ける幅が増えてから負荷を上げ、同時に関節内で関節唇が擦れないように正しい姿勢と筋肉の使い方を練習しました。
Lifelongでは約2週間に1回メニューを更新しています。いつまでも同じメニューを続けていても、身体が慣れた段階でそれ以上の改善は見込めません。常に”ちょっと難しい運動”に挑戦し続けることが、身体を改善させ続けるポイントです。
痛みのない日常生活の感想
今では簡単に持てるようになったし、仕事で3~4歳児の教師をしていて、たまに抱っこしないといけないときも出来るようになった。
家で自分の好きなトレーニングも重りを持ってできるようになった。身体が変わっているのを感じるし、目に見えて変化している。特にここでトレーニングを始めた頃はとてもキツかったけど、最近は出来るようになっているし、重い物も運べるようになっていることに気づいた。
前よりも自信もついた。初めは肩を動かすことが少し不安だったけど今は不安なく動かせる。本当に調子が良い。
そのすべての側面で重い物を持ち上げる、腕を上げるという動作が必要だったので、少しでも早く痛みを改善させる必要がありました。
筋力がつき、関節の可動域が増え、姿勢が変わり、自分自身で上手な肩の動かし方を覚えることで、痛みは徐々に減っていき、以前のように日常生活を楽しめるようになり本当に良かったです。
肩関節唇損傷の改善方法
レイラさんは左肩内部にある関節唇の損傷と診断を受けていました。
Lifelongに来る前に病院や接骨院で受けていたマッサージや電気治療では改善が見られなかったということで、筋肉や靭帯には損傷がない可能性が高いと感じました。
関節唇を痛める原因の多くは、肩関節と肩甲骨がスムーズに動かせなくなり、関節内部で関節唇が挟まれてしまうことです。(インピンジメント症候群)
最初にレイラさんの動作を確認した際に、右肩に比べて左肩の可動域が低下していること、腕を上げようとすると肩の上部が挙がってしまうことが確認できました。
この動きでは、左肩には痛みを伴う関節の中が詰まる感覚がありました。
肩周りの関節可動域、筋力チェックをしてみると、上半身全面の筋肉が硬く、後方の筋肉は緩くなっていました。
また、肩を動かすときに大きな筋肉を使いすぎて、関節を安定させる小さな筋肉がうまく機能していないこともわかりました。
これらの特徴から、“上半身前面の筋肉が硬くなることで猫背のように左肩が前面に出てしまい、同時に関節を安定させる筋肉が機能していないので関節がスムーズに動くことができずに関節唇を挟んでしまっている”というのが痛みの原因と判断しました。
具体的な解説
大胸筋、胸鎖乳突筋の拘縮により肩が前に推移。
それにより猫背姿勢となってしまい、肩を動かす際の関節角度が悪化。
同時に肩を動かす際に僧帽筋上部繊維、三角筋などが優位になりすぎ、僧帽筋下部繊維やローテーターカフが機能不全になる。
肩関節近位部の筋肉が機能しないため、上腕骨頭が肩甲骨にうまくはまらず、関節唇を関節内で挟んでしまっていた。
背筋を伸ばして肩関節の角度を修正し、うまく働いていない関節安定性に重要な筋肉を使えないことには、関節唇に負担がかかり続けることになってしまいます。
痛いところをマッサージするのではなくて、痛みのある部位に負担がかからなくする治療が必要でした。
Lifelongでは以下のポイントに焦点を当てた運動療法に取り組んでいただきました。
- 上半身前面のストレッチ
- 肩甲骨周りの筋力強化
- 肩関節を安定させる筋肉の強化
- 肩甲骨を使って腕をあげる動作
最初は地味な運動でしたが、肩周りの小さな筋肉が機能し始めるとすぐに肩関節はスムーズな動きを取り戻しました。
痛みが出ない範囲で徐々に負荷や関節可動域を増やしていき、1ヶ月ほどで3キロのダンベルを持ち上げても痛みが出なくなりました。
この頃から日常生活で感じる痛みも軽減していき、最初痛くて持ち上げられなかったポットも問題なく持ち上げられるほどに回復されました。
今後の目標
あと、強くなりたい。今自力で出来ている事をこれからも続けたい。
もし肩が100%回復したら、次は体力向上のために運動したい。有酸素運動とかかな。筋力トレーニングと一緒にね。
運動を続けることは大変なことではありますが、目標を作って、少しでも楽しみながら取り組んていただければと思います。
プロのスポーツトレーナーによる治療とリハビリを試されたい方は、ぜひ一度ご相談ください
他の改善事例はこちらからご覧になれます。