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Case Study 症状別事例

2024.06.27

肩関節脱臼

肩関節脱臼は癖になる!?

執筆大澤 亮(理学療法士)

有名なスポーツ整形外科で主に手術直後のリハビリを担当。病院で培った臨床技術を活かし、ジュニアアスリートから高齢者の運動愛好家まで幅広い年代のリハビリを得意とする。自身のスポーツ歴は野球、バスケ、カヌー。

肩関節を脱臼したことある方で多くの方が肩関節の不安定感を感じています。

肩関節を脱臼すると癖になるとよく聞きますが実際はどうなのでしょう。

この記事では肩関節を脱臼することによる問題について詳しく紹介していきます。

記事の内容
  1. 肩関節を脱臼すると癖になるのか?
  2. なぜ肩関節脱臼は癖になるのか
  3. 癖になった肩関節脱臼の治し方を知りたい

結論から言うと肩関節脱臼は癖になります

肩関節を脱臼したことある方で日常生活でも繰り返し脱臼する方もいます。

このように癖になった状態を反復性肩関節脱臼と言います。

ではなぜ反復性肩関節脱臼なるのかを詳しく紹介していきます。

肩関節脱臼について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

反復性肩関節脱臼とは

反復性肩関節脱臼とは、肩関節が繰り返し脱臼を起こす状態を指します。

通常、肩関節は球とくぼみの形をした関節です。

球状の上腕骨の頭がくぼんだ肩甲骨の関節窩に収まっています。

しかし、外傷等によって肩関節が外れることがあります。

反復性肩関節脱臼は、脱臼が繰り返し起こりやすくなる状態を指します。

一度肩関節が脱臼すると、周囲の組織や靭帯が損傷し、肩関節の安定性が低下することがあります。

それによって、同じ方向に向かっての軽度な外傷や特定の動作が、肩関節の再脱臼を引き起こすことがあります。

この状態を反復性肩関節脱臼と言います。

特に若いスポーツを行う人によく見られます。

反復性肩関節脱臼の原因

反復性肩関節脱臼の原因は一度脱臼した際に起こる、周囲組織や靭帯の破壊によって引き起こる肩関節の不安定性が原因です。

肩関節はもともと不安定な関節であるため、筋肉や靭帯、軟骨などによって安定性を高めています。

肩関節は脱臼するときに周囲の組織を同時に破壊してしまうことがあります。

主な周囲組織

  • 関節唇
  • 腱板
  • 靭帯

これらの組織を同時に破壊してしまう可能性があります。

反復性肩関節脱臼の症状

反復性肩関節脱臼の症状は

  • 繰り返す脱臼
  • 肩の不安定感
  • 脱臼時の強い痛み

このような症状が特によく見られます。

繰り返す脱臼

肩関節脱臼は脱臼回数を重ねるごとに脱臼しやすくなります

症状が進むと

  • 着替え
  • 頭の後ろで手を組む
  • くしゃみをする

このような動作で脱臼するようになり、日常生活に支障を来すようになります。

肩の不安定感

反復性肩関節脱臼では肩関節の安定性が低下するため日常の動作や特定の肩関節の角度で肩関節の不安定感を感じる方が多いです。

特に

  • 着替え
  • 頭を洗う
  • 寝返り

これらの動作で不安定感を感じることが多いです。

不安定感を感じやすい手の位置は

肩関節外転位で外旋させると不安定感を感じる方が多いです。

脱臼時の強い痛み

肩関節は脱臼の90%は前方に脱臼します。

肩関節の前方には多くの神経が分布しており脱臼した際に激しい痛みを感じます。

反復性肩関節脱臼の治療法

反復性肩関節脱臼の治療では

  • 運動療法
  • 手術療法

主に、この二つが主に選択されます。

運動療法

運動療法ではリハビリを中心に、脱臼を予防するための動作や機能を向上させることを目的に行います。

  • 肩関節周囲の可動域を広げる
  • 肩関節周囲の筋力強化
  • 肩関節の安定性の向上

これらが反復性肩関節脱臼に対する運動療法では大切になります。

手術療法

運動療法を行っても肩関節の安定性が得られなかった場合、手術療法が選択されます。

特に

  • 若年者でスポーツ活動を継続する
  • 日常動作でも肩関節を脱臼し、生活に支障をきたす方

このような方は手術適応になります。

手術療法では損傷してある組織を修復したり、骨を移動させて関節の安定性を獲得します。

手術方法

代表的な手術方法を紹介します。

バンカート法

バンカート法とは関節唇損傷を修復する手術です。

主に関節鏡という内視鏡を使って行います。

具体的には関節窩の端に糸を埋め込み、その糸を関節唇に通して結びます。

このようにして、損傷した関節唇を修復させます。

ブリストー法

烏口突起移行術(ブリストー法)

バンカート法でも脱臼を防げないようなケースがあります。

それはバンカート法後に再脱臼してしまったケースやアメリカンフットボールや柔道など、脱臼のリスクが通常より高いスポーツをやる場合などです。

このような場合はバンカート法と併用し、より強固な手術をすることがあります。

それが烏口突起以降術(ブリストー法)です。

烏口突起以降術では、肩甲骨の突起である烏口突起を肩甲骨関節窩の前方に移行する方法です。

移行するというのは、烏口突起を切って外して、ネジで留め治して、別の場所にくっつけることを言います。

この手術では、より再脱臼のリスクが低くなります。

※どちらの手術を行っても手術後のリハビリは重要です。

反復性肩関節脱臼の方におすすめの運動

肩関節の脱臼の予防には肩関節を安定させるための筋力と肩関節を動かしたときに十分に動かすことのできる可動域を獲得することが重要です。

家でできる予防エクササイズを3つ紹介します。

肩関節可動域訓練

  1. 手と肘を固定し、身体を前に倒しながら捻る

肩関節を安定させるトレーニング

  1. 肘を90度に曲げて脇腹に固定し、バンドをつかむ
  2. 肘が動かないように肩を回してバンドを外側に引っ張る

  1. 肘を90度に曲げて脇腹に固定し、バンドをつかむ
  2. 肘が動かないように肩を回してバンドを内側に引っ張る

 

まとめ

反復性肩関節脱臼は日常生活やスポーツ活動に大きな影響を与えます。

繰り返す脱臼によってスポーツや生活に困っている方は一度しっかりと治療をして完治させることが重要です。

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