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Case Study 症状別事例

2022.06.28

足首の捻挫

オタワアンクルルールとは?詳しい使い方と注意点を紹介

執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)

ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。

オタワアンクルルール(Ottawa Ankle Rules)は、足首の痛みに対して”骨折の疑いがあってレントゲン検査を行う必要性があるか?”を調べるための方法です。

足部を怪我したときに、その場で道具も必要なく、簡易的な骨折の検査ができることが最大のメリットとなっています。

この記事では、オタワアンクルルールの説明と使い方、そして注意点まで全て解説しています。

記事の内容
  1. オタワアンクルルールとは?
  2. オタワアンクルルールの使い方
  3. オタワアンクルルールの注意点

足を怪我してしまった人や、足の怪我に対して応急処置をする必要があるトレーナーさんの役に立つ内容となっていますので、ぜひご一読ください。

本記事は以下のオタワアンクルルールに関して研究された最初の論文を参考文献として書かれています。

オタワアンクルルールについて書かれた論文
Stiell I. (1996) Ottawa ankle rules.

オタワアンクルルールとは?

まず簡単にオタワアンクルルールについて説明します。

レントゲン検査の必要性=骨折の可能性

オタワアンクルルールとは、足首を怪我したその場で行える5つの簡単なチェックテストによって、大まかな怪我の状態を調べる方法です。

オタワアンクルルールを使って調べることができるのは、”この足首の怪我はレントゲン検査を行う必要があるか?”ということです。

足首で最も多い怪我は捻挫ですが、足をひねったときに「万が一骨折してないかな?」という場合に使われます。

本来の目的はレントゲン検査が必要か調べることですが、レントゲン検査で確認できるのは骨折の有無なので、スポーツ現場では簡易的な足首の骨折チェックとして使われています。

オタワアンクルルールは骨折の可能性を調べることができる

オタワアンクルルールが作られた理由

そもそもオタワアンクルルールはどのような経緯で作られたのかを簡単に紹介します。

オタワという名前はカナダの首都に由来しています。

この研究はオタワにある病院の救急科に勤務する医師が指揮を取って行われました。

当時は足を怪我する度にレントゲン検査を行っていて、カナダとアメリカで足のレントゲン検査にかかる費用は年間5億ドルにも達していましたようです。

実際に足首の痛みでオタワの救急科に訪れた患者の95%がレントゲン検査を受けていてそのうち85%は何も異常が見つかっていませんでした。

足首を痛めて救急科に来院した患者の95%がレントゲン検査を受けた
➡︎ うち85%が異常なし

この状況を見た医師達は、足首のレントゲン検査にかかる無駄な費用と時間を改善できないか?と考えてオタワアンクルルールが考えられました。

そして実際にオタワアンクルルールを593名の患者に対して試用したところ、足首のレントゲンを25%足部のレントゲンを14%減らすことができました。

さらに、この593名のうち93名の患者から骨折が発見されましたが、この93名全員に対してオタワアンクルルールは有効だったと報告されています。

また、レントゲン検査を受けなかった患者は平均36分も早く病院から帰ることができ、病院に対する満足度も低下しなかったようです。

オタワアンクルルールの効果
  1. 足首のレントゲンを25%減少
  2. 足部のレントゲンを14%減少
  3. 全ての骨折患者に対して有効
  4. レントゲン検査が必要ない患者は36分早く帰宅

このように、オタワアンクルルールは簡単に行えて効果も高いので、現在でも多くの医療従事者に使用されています。

オタワアンクルルールは足首の怪我に対する不必要なレントゲン検査を減らすために考案された

オタワアンクルルールの使い方

それでは実際にオタワアンクルルールの使い方を紹介します。

5つのチェックポイント

オタワアンクルルールでは、足を怪我した直後に5つのテストを行います。

A. 腓骨(外くるぶし)の後方、下から6cmまでに圧痛があるか?

B. 脛骨(内くるぶし)の後方、下から6cmまでに圧痛があるか?

C. 第5中足骨に圧痛があるか?

D. 舟状骨に圧痛があるか?

E. 怪我直後に体重を乗せて4歩、歩くことができるか?

これらのテストの結果に応じて、どの部位のレントゲン検査が必要かがわかります。

足首のレントゲン検査が必要なとき

5つのテストを行った結果、以下の特徴がある場合は足首のレントゲン検査が必要と考えられます。

  •  AかBの場所に圧痛がある
  •  怪我直後に体重をかけることができない(E)

足部のレントゲン検査が必要なとき

くるぶし周辺に痛みがない場合、以下の症状があれば足部のレントゲン検査が必要です。

  •  CかDの場所に圧痛がある
  •  怪我直後に体重をかけることができない(E)

これらを見比べてもらうとわかりますが、オタワアンクルルールでは足首を怪我した直後に体重をかけることができるかを重要視しています。

受傷直後に体重を乗せて歩くことができない場合は、どこかが骨折している可能性が高いと考えられています。

オタワアンクルルールの注意点

オタワアンクルルールは非常に精度の高いテストですが、使用に適さない状況もあります。

子供への使用

オタワアンクルルールは大人を対象とした検査方法なので、子供への使用は注意が必要です。

いくつかの論文ではオタワアンクルルールが子供に対しても有効と報告があります。

しかし結論はまだ確立していないので、子供にも使えるテストかどうかはわかっていません。

皮膚の感覚に異常がある場合

オタワアンクルルールでは、特定の場所への圧痛の有無が判断の鍵となります。

なので、もとから足首の皮膚感覚に異常がある人には効果的ではありません。

怪我をする前から”足首に痺れがある””少し触れただけで痛みを感じる””触られても感覚がない”といった症状がある人には不向きのテストになります。

足首が大きく腫れている

怪我の状態によっては、足首が大きく腫れてしまうことがあります。

腫れが強すぎると、触診で骨に圧痛があるか調べることができなくなります。

怪我直後でも、足首の骨がはっきりと確認できる状態でないとオタワアンクルルールは使うことができません。

まとめ

今回紹介したオタワアンクルルールについてまとめます。

  •  オタワアンクルルールは”足首を骨折している可能性”と”レントゲン検査の必要性”を調べるための検査
  •  足首を怪我した直後に5つのチェックを行う
  •  特定の部位への圧痛や荷重できない場合はレントゲン検査を推奨
  •  オタワアンクルルールが効果的ではない状況もある

オタワアンクルルールは足首の怪我が起こったときに、瞬時に骨折の可能性を検査することができる優秀なテストです。

正しい知識と使い方を身につけ、スポーツ現場の応急処置に役立ててください。

足首の骨折だけでなく、足首捻挫に関してく詳しい情報をお探しの方はこちらのページが役に立ちます。

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