2024.08.29
人工股関節
人工股関節置換術治療の流れ
執筆大澤 亮(理学療法士)
有名なスポーツ整形外科で主に手術直後のリハビリを担当。病院で培った臨床技術を活かし、ジュニアアスリートから高齢者の運動愛好家まで幅広い年代のリハビリを得意とする。自身のスポーツ歴は野球、バスケ、カヌー。
年齢を重ねるにつれて、股関節の痛みに悩まれる方は多くいると思います。
股関節の痛みの多くを占める変形性股関節症に悩む人も多いのではないでしょうか。
変形性股関節症に対して行われる手術、「人工股関節置換術」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
この記事では、人工股関節手術を検討されている方に向けて、入院前から手術後の治療の流れについて詳しく紹介します。
変形性股関節症について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
人工股関節置換術の入院から退院までの流れは、一般的な治療経過を紹介します。
ただし、病院や患者の状態により、治療の流れが異なりますので、主治医の指示に従うことが大切です。
術前検査と準備
- 入院前の検査
手術の1〜2週間前に血液検査、心電図、胸部X線などの全身状態を確認するための検査が行われます。
- 手術前の指導
手術前の食事や薬の摂取、手術後に注意する動作の指導があります。
入院・手術
- 入院当日
手術前日に入院することが多いです。
- 手術の実施
手術は通常2〜3時間程度かかります。
手術中は関節を人工関節に置換し、痛みの原因となっている部分を取り除きます。
人工股関節置換術の手術について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
術後の経過とリハビリ
術後1日目: 早期リハビリの開始
- 足の運動
ベッド上で足首を動かしたり、膝を曲げ伸ばしする運動を行います。
血液循環を促進し、手術後の血栓予防にもつながります。
- 座位訓練
ベッドに座る練習を開始し、身体が安定するようにします。
- 術後2〜3日目: 歩行訓練の開始
- 立位練習
ベッドから立ち上がる練習をします。
- 歩行器を使用した歩行
歩行器を使用しての歩行訓練を行います。
歩行が安定すればトイレなどの移動が自由になります。
術後4日目〜(入院中): 歩行と日常動作の改善
- 日常動作の練習
ベッドからの起き上がりやトイレの利用、衣服の着脱、階段の昇り降りなど、生活に必要な動作の練習を行います。
- 杖を使用した歩行
杖を使いながら、より長い距離を歩く練習を続けます。
最終的には杖なしでの歩行を目指します。
- 可動域訓練
日常生活動作等の動きで必要な関節の可動域を獲得するためにストレッチやエクササイズを用いて関節の可動域を拡大します。
- 筋力トレーニング
股関節周囲の筋肉を強化するためのエクササイズを行います。
退院
退院準備
- 退院判定
医師やリハビリスタッフが、歩行能力や日常生活に必要な動作が自立して行えるかを確認します。
これが可能になれば退院が検討されます。
- 自宅での注意点の説明
退院後の生活やリハビリについての指導が行われます。
転倒防止や適切な運動について指導が行われます。
退院
- 退院日
術後2~3週間程度で退院するのが一般的です。
退院後も定期的な通院やリハビリが続きます。
術後のフォローアップ
- 外来受診
退院後、数週間から数ヶ月ごとに外来受診を行い、手術の経過や股関節の状態を確認します。
リハビリが必要な場合は継続して行われます。
術後4〜6週目(退院後): 日常生活への復帰
- 機能回復
日常生活に戻るための訓練が継続され、歩行や動作のレベルを向上させます。
術後3〜6ヶ月: 完全な回復と活動の再開
- 通常の日常活動
徐々に通常の活動に戻り、軽いスポーツや日常的な動作が問題なく行えるようになります。
長期的なリハビリと健康維持
- 継続的な運動
股関節を保護し、長期的な機能維持のために、軽い運動やストレッチを続けることが推奨されます。
人工股関節置換術後にも可能な運動について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
このように人工股関節の治療は進められていきます。
これらは一般的な治療の流れなので、関節の状態や手術の方法などで多少の違いはあります。
人工股関節置換術の結果には、術後のリハビリがとても重要です。
主治医やリハビリスタッフの指示のもと治療を進めることが大切です。
人工股関節置換術について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
よく見られるカテゴリ
関連する記事
-
2024.09.07
人工股関節の手術を受けるタイミングは?
-
2024.08.29
人工股関節置換術治療の流れ
-
2024.08.28
人工股関節置換術の種類