2025.08.14
人工股関節
人工股関節の人がやってはいけないこと

執筆大原希公
整形外科、整骨院での勤務経験を活かして幅広い年代の運動指導を行う。学生アスリートからお年寄りまで、一人一人に寄り添ったリハビリで目標達成まで温かく並走する。
人工股関節手術後は痛みがなくなり自由に動けると思いきや、やってはいけない動作があることをご存知でしょうか?
やってはいけない動作を知らない、回避できないことで脱臼するリスクが高くなります。
一方で制限を気にしすぎて動かさないと、筋力や柔軟性が低下し日常生活に支障をきたすこともあります。
人工股関節の手術方法によっても脱臼する姿勢は少し変わりますが、
どの手術方法でも「これだけは避けて欲しい動き」をご紹介します。
人工股関節で避けるべき動き
人工股関節の人がやらない方が良い動きは”股関節を捻る動き”と”股関節を深く曲げる動き”です。
股関節を捻る動き
- あぐら
- 横坐り/とんび座り
- 足を組む
あぐら
あぐらは股関節を
曲げる(股関節屈曲)
外側に捻る(股関節外旋)
外側に開く(股関節外転)という動きになります。
この動きは人工股関節が脱臼しやすい動きとなります。
できるだけ椅子に座るようにし、もし床に座る場合は長座や正座で座るようにしましょう。
横坐り/とんび座り
横坐りやとんび座りは股関節の
曲げる(股関節屈曲)
内側に捻る(股関節内旋)
内側に寄せる(股関節内転)という動きになります。
この姿勢は股関節が過度に捻られるため避けてください。
特に後方アプローチで手術された場合はこの姿勢は人工股関節の脱臼リスクを大きく高めるので注意しましょう。
足組み
足組みは股関節の上と下の足で動きは違いますがまとめて
曲げる(股関節屈曲)
内側と外側に捻る(股関節内旋/外旋)という動きになります。
この動きも特に後方アプローチで手術された方は脱臼のリスクを高めるので注意しましょう。
股関節を深く曲げる動き
- しゃがみ込み/和式トイレ
- 低いところのものを取る
- 低い椅子に座る
- 正座からお辞儀をする
しゃがみこみ/和式トイレ
しゃがみこみ/和式トイレの姿勢は
股関節を深く曲げる(股関節屈曲)動きとなります。
また、しゃがみ込んだ際に股関節が内側に捻られたり(股関節内旋)、
股関節を内側に寄せられたり(股関節内旋)します。
脱臼のリスクを避けるために、しゃがみ込まないように注意し、洋式トイレを使用しましょう。
低いところのものを取る
低いところのものを取る姿勢は
股関節を深く曲げる(屈曲)動きになります。
脱臼を避けるために片膝だちで取るようにしましょう。
正座からお辞儀をする
正座からお辞儀をする姿勢は
股関節を過度に曲げる(股関節屈曲)
股関節を内側に捻る(股関節内旋)という動きになります。
後方アプローチで手術をされた方は脱臼のリスクがあがるので特に注意しましょう。
やってはいけないスポーツ
過度に股関節を曲げる、捻る動きが多い激しいスポーツは、脱臼や人工股関節の摩耗や破損につながるので避けましょう。
近年では人工股関節の耐久年数が向上していますが、
人工関節は使えば使うほど摩耗し、股関節に負担のかかる動作をし続けることで人工股関節の寿命が短くなります。
かといって何もしなければ股関節周りの筋肉の柔軟性や筋力が低下し、日常生活に支障が出たり、転倒し人工股関節周囲の骨折や脱臼のリスクが高まりますので、適度に運動は行いましょう。
まとめ
人工股関節の手術後は、「何はしてよくて、何はしてはいけないか」をしっかり把握し、脱臼を回避することが重要です。
また股関節を安定させ脱臼しないようにするため、生活の質を良くするために股関節周りの柔軟性や筋力も獲得しましょう。
筋肉や柔軟性を獲得することで股関節に負担が少ないスポーツや運動に復帰することは可能です。
してはいけないことを理解することは大事ですが、とらわれすぎないように、今できることを前向きに取り組んで前向きに頑張りましょう。
人工股関節置換術に関してより詳しく知りたい方はこちらのページもご覧ください。
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