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Case Study 症状別事例

2026.02.03

トレーニング

フィギュアスケートで高難易度ジャンプを成功させるコツは?論文をもとに身体の使い方を解説

執筆大原 希公(アスレティックトレーナー/鍼灸師)

整形外科、整骨院での勤務経験を活かして幅広い年代の運動指導を行う。学生アスリートからお年寄りまで、一人一人に寄り添ったリハビリで目標達成まで温かく並走する。

今回はフィギュアスケートで3回転ジャンプを成功させるために必要な身体の使い方について書かれた論文を紹介します。

具体的には、1回転、2回転、そして3回転フリップジャンプを跳ぶときの膝の角度を比較し、3回転を跳ぶときの特徴について研究されています。

この記事でわかること
  • フィギュアスケートで3回転ジャンプを成功させるコツ
  • ジャンプの成功率を上げるのに効果的なトレーニング

この論文によると、高回転ジャンプを成功させるためには膝を曲げる角度と膝を伸ばす速さが重要なポイントになっているようです。

専門用語もわかりやすい言葉に変えて説明していきますので、ぜひ参考にしてください。

 

参考文献はこちら

フリップジャンプとは?

まず初めに、フィギュアスケートには6種類のジャンプがあります。

  • トゥループ
  • サルコウ
  • ループ
  • フリップ
  • ルッツ
  • アクセル

フリップジャンプとは後ろ向き滑りで左の内側エッジに体重を乗せてから、右足のつま先で氷をついて飛ぶジャンプになります。

この論文では女子フィギュアスケート選手4名を対象に、フリップジャンプの動作を解析し、動きの特徴を調べています。

フィギュアスケートにおけるジャンプのメカニクス

フィギュアスケートのジャンプには4つのメカニクスが存在します。

ジャンプの瞬間ごとに必要な動作を理解することが、高いジャンプを跳ぶためには大切です。

  1. 並進運動時の速度(助走)
  2. 並進運動のエネルギーを垂直運動のエネルギーへ移行(助走から上方向へ)
  3. 跳躍力を生み出す脚部の伸展運動(ジャンプする際の踏切足が伸びる力)
  4. 並進運動から垂直運動へ移行する力(腕振りとフリーレッグから生まれる力)

もう少しわかりやすく説明すると、以下のようになります。

  1. ジャンプ前の助走
  2. 膝を曲げて上に跳ぶ準備
  3. 膝を伸ばして上方向に跳ぶ
  4. 宙に浮く時に足と腕で上に引っ張り上げる

少し専門的な内容なので、”横方向に滑っている力を上方向へジャンプする力に変えるための身体の動き”があると覚えてください。

ジャンプ動作は垂直方向への跳躍と身体の連動性が大事になり、股関節、膝関節、足関節の動きを上手く連動させることが大切です。

この連動した動きが遅れてしまうと、地面を押し出す力の低下につながり、ジャンプが低くなってしまいます。

他の多くの研究でも、適切な関節運動のタイミングと動きの連動性が垂直方向への跳躍に影響すると明らかにされています。

スケート靴はジャンプを邪魔してしまう

スケート靴は足首を支えるために固く作られているので、足関節が固定されて可動域が制限されてしまいます。

特に足関節の底屈制限(つま先を下に下げる)は重心の加速度を低下させると報告されています。

スケート靴を着用した状態での垂直跳びを調査した研究によると、スケート靴を着用することで足関節の底背屈(足首の上下運動)と膝関節の動きは制限されてしまうけど、股関節の角度には影響を与えないと報告されています。

この研究結果から、フィギュアスケートにおけるジャンプ動作は主に股関節の動きによって行われていると考えられます。

動かしにくい足首と膝を使うのではなく、スケート靴の影響を受けにくい股関節を使ってジャンプをすることが、高くジャンプするコツとも言えます。

回転数増加による膝屈曲角度と膝伸展速度

この論文では、3回転ジャンプのようにより回転数の多いジャンプをするときに膝の屈曲角度と伸展速度が増加すると報告されています。

回転数の増加により膝が大きく曲がり、より早く伸ばし切るようになったのは”筋繊維の長さと筋力の関係”と“Stretch-shortning cycle(SSC)”によるものと考えられています。

Stretch-shortning cycle(SSC)とは筋肉が伸びた後にすぐに縮むことでより大きな力を発揮できるという機能です。

例えば、皆さんは高く飛ぶために一度しゃがんでからジャンプをしませんか?

これは一度しゃがむことにより筋肉を伸ばしてからジャンプ(筋肉を縮める)をすることでより高く飛ぶことができる、ということを無意識に行なっているからです。

膝屈曲角度の増加

一般的に膝の伸展筋力(膝を伸ばす力)は膝関節屈曲角度(膝を曲げる角度)70°において最大限発揮されます。

この研究の結果では、それぞれのジャンプにおける膝の最大屈曲角度は以下のようになりました。

1回転:106°〜114°
2回転:102°〜120°
3回転:92°〜98°

この結果を見ると、1回転2回転のジャンプでは膝をあまり曲げずに跳び、3回転ジャンプではより大きく膝を曲げてから跳んでいることがわかります。

空中で3回転するためにはより高く遠くに跳ぶ必要があるので、膝を深く曲げ、筋肉をしっかり伸ばしてSSCを活用してジャンプしているということです。

この結果から、2回転は跳べるけど3回転はまだ跳べない選手、もしくは3回転は跳べるけど4回転に挑戦したい選手は、膝をより大きく曲げてからジャンプすることが成功するためのコツと言えます。

ジャンプの前に膝を大きく曲げるためには、今まで以上に体重を上手に支えられるように、大臀筋やハムストリングスといった筋肉をしっかり鍛えることが大切です。

また、SSCをうまく活用するためには普段から筋肉を伸ばしてから収縮させるためのトレーニングを行うことも重要です。

Lifelongでは、膝と股関節を大きく曲げてジャンプに必要な大臀筋、ハムストリングス、大腿四頭筋をしっかり伸ばした上で、素早く跳び上がるために短い接地時間でジャンプをする練習などを取り入れています。

より早い膝伸展速度

SSCをうまく活用するためには、膝を大きく曲げることに加えて、曲げた膝を素早く伸ばし切ることも大切です。

この研究の実験対象となった選手の中に、16歳で全国大会上位の成績を収めている選手がいます。

その選手が2回転と3回転ジャンプを成功させたときの膝伸展速度を比較すると、3回転ジャンプの時により早く膝を伸ばし切っていることがわかりました。

2回転:0.12秒
3回転:0.03秒

別のフィギュアスケートに関する研究でも、3回転トゥループはできるけど4回転は跳べない選手と4回転トゥループが跳べる選手を比較すると、4回転が跳べる選手の膝伸展速度の方が速かったようです。

このことから、ジャンプを跳ぶときに膝を素早く伸ばし切ることも、回転数の多いジャンプを成功させるためのコツと言えます。

ジャンプのコツを覚えて3回転ジャンプを成功させよう!

3回転ジャンプの成功率が高い選手は、ジャンプの前に膝を大きく曲げてから、膝を素早く伸ばしているということがわかりました。

これはSSCという、筋肉がより大きなパワーを生み出すことができる動き方を利用していると考えられます。

難易度の高いジャンプを成功させるには、SSCを活用した並進運動ジャンプをトレーニングに取り入れるようにしましょう。

神戸三宮のLifelongではフィギュアスケートに特化した専門的なパフォーマンスアップトレーニングを受けることができます。 より高難易度のジャンプを跳べるようになりたいという方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

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