2024.09.21
前十字靭帯損傷
前十字靭帯の損傷と断裂は何が違う?
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。
前十字靭帯を怪我したとき、”前十字靭帯損傷”もしくは”前十字靭帯断裂”と診断されることがほとんどです。
この損傷と断裂という診断は何が違うのか?と質問を受ける機会が多くあります。
この記事では、前十字靭帯損傷と断裂の違いについてわかりやすく解説していきます。
前十字靭帯損傷と断裂の違い
まず結論から言いますと、前十字靭帯損傷と前十字靭帯断裂の違いは、帯が完全に断裂しているかどうかです。
前十字靭帯損傷とは”前十字靭帯を痛める怪我全て”を表していて、前十字靭帯断裂は”前十字靭帯の断裂”のみを意味します。
つまり、前十字靭帯を怪我したとき、靭帯が完全に切れてしまったときは”前十字靭帯断裂”と診断され、靭帯が損傷したけど切れてはいない状態を”前十字靭帯損傷”と言います。
どちらも前十字靭帯の怪我に変わりはないのですが、靭帯が完全に切れたら断裂、それ以外は損傷という呼び方をします。
前十字靭帯損傷という怪我の中に前十字靭帯断裂が含まれているというイメージです。
前十字靭帯損傷の分類
前十字靭帯の怪我は、以下のように重症度によって3種類に分類されます。
- 1度損傷(靭帯の損傷) :前十字靭帯損傷
- 2度損傷(部分的な断裂):前十字靭帯損傷(前十字靭帯部分断裂)
- 3度損傷(完全断裂) :前十字靭帯断裂
重症度が1度と2度の場合は診断名が”前十字靭帯損傷”となることがほとんどです。
ただし、2度で部分断裂が見られるときは”前十字靭帯部分断裂”と診断されることもあります。
もし前十字靭帯が完全に断裂した場合は、”前十字靭帯断裂”と診断されます。
まとめ
前十字靭帯損傷と前十字靭帯断裂は似たような意味を持ちますが、靭帯が完全に断裂しているかどうかが大きな違いです。
前十字靭帯断裂と診断された方が、より重症度の高い怪我ということにもなります。
前十字靭帯を怪我してしまった場合は、自分の靭帯がどのような状態にあるかをしっかり把握することが大切です。
前十字靭帯の怪我についてより詳しく知りたい方はこちらにまとめてあります。
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