2024.04.15
インタビュー
『1ヶ月以上続く痛みが改善、週6でサッカーができるように』運動療法によるオスグッド・シュラッダー病改善の感想
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。
Jくんはオスグッド・シュラッター病による膝の痛みを改善するため、当店を利用いただきました。
医師からは『成長痛だから安静に』と言われたけど、1ヶ月休んでも痛みは変わらず。
このまま休んでいても、いつサッカーができるようになるかわからないという不安が強かったようです。
確かにオスグッド・シュラッター病は成長期に多い怪我で、早期の改善が難しい症状ではありますが、できないことが何もないわけではありません。
Jくんが初めて来たときは軽くスクワットをしただけで痛みを感じていましたが、1ヶ月もしないうちにジャンプができるようになりました。
その後も着実に痛みは減っていき、最終的には週6日サッカーをできるまで回復したJくんに運動療法の感想を話してもらいました。
Jくん
- オスグッド・シュラッダー病と診断
- 1ヶ月以上病院や治療院では改善せず
- 1日も早くサッカーを再開したい
Lifelongの利用目的
何が問題なのか教えてくれえる人を見つけられず、どうしたら治るかわからなかった。
他のところに行ったら家でストレッチをやるしかないと言われたけど、ストレッチをしても何も変わらなかった。
それでネットで探したらここを見つけて、ここがとても気に入って通ってる。
ここではエクササイズを一緒にやってくれて、そのエクササイズでとても良くなった。
Jくんの場合は1ヶ月経っても痛みが改善せず、相談に来てくれました。
今まではストレッチやマッサージのような筋肉をほぐす治療しか受けていなかったので、Lifelongでは弱い筋肉をしっかり鍛え、膝に負担がかからない動作の習得にも取り組んでもらいました。
Lifelongを選んだ理由
もちろんストレッチもするけど、他の場所よりもストレッチは少ない。他の場所ではマッサージとストレッチがほとんどだった。
ここでは、より筋力がついてきているし、膝が楽になってきた。
あと、ここのリハビリはとても楽しいというか、フレンドリーでいい環境にいられて嬉しい。
しかし、そもそも痛みの原因はその人独自の動き方や身体の使い方によって、痛みの出ている部位に負担がかかっていることがほとんどです。
筋肉をリラックスさせるだけでなく、使えていない筋肉を鍛え、正しい動き方を覚えて痛みの出ている部分の負担を下げてあげることが大切です。そうすることで、痛みの軽減だけでなく、怪我の再発予防にも繋がってきます。
運動療法の感想
前はエクササイズをするとき痛かったけど、今はそんなに痛くない。
痛みはどんどん無くなっていて柔軟性も上がってきた。
前は苦戦していたトレーニングが今はとても楽になった気がして、怪我も筋力もとても良くなってきてる。
特にオスグッド・シュラッダー病のように、過度の負荷によって起こるオーバーユースと呼ばれる怪我では、運動負荷の調節がリハビリのポイントとなってきます。
弱い筋肉を鍛えて負荷に耐えられるようにしなければいけませんが、負荷をかけすぎると痛みが出て症状を悪化させてしまいます。
この”適切な負荷”を設定するのが非常に難しいですが、オーバーユースの怪我を改善させるためには非常に効果的な方法です。
痛みのない日常生活の感想
友達と会ったり、外に出て新鮮な空気を吸ったり、自然を感じられて退屈しないし。
もっと筋肉を使えるようになった。サッカーができなかった時はほとんど家にいて、あんまり何もできなかった。
Jくんと治療方針を相談したときも、痛みを完全になくすことよりも、多少の痛みがあっても痛みが悪化しない範囲でサッカーができるように、という目標を立てることにしました。
もちろん痛みが完全になくなることを最終目標とはしましたが、10代の少年にとってはいち早く競技に復帰することが、選手として成長する上でも、友人と楽しい時間を過ごす上でも大切だと考えました。
幸いなことに、症状が悪化することなく週1回の練習復帰から始めて、週2回、3回と徐々に増やしていき、最終的には週6回、1日2時間の練習をしても痛みが出なくなるまで回復することができました。
オスグッド・シュラッター病の改善方法
Jくんは左膝、脛の出っ張っている骨の前面(脛骨粗面)に痛みを感じていたので、症状としては典型的なオスグッド・シュラッター病でした。
オスグッド・シュラッター病の原因として多いのが、大腿四頭筋が硬くなってしまうことです。
しかし、Jくんの大腿四頭筋に硬さはあまりなく、右側と比べても大きな差はありませんでした。
そこでJくんの動作を確認してみたところ、痛みの原因と考えられる動きの特徴がいくつかみられました。
1つ目はスクワットのフォームです。
写真を見ていただくと、お尻を下げることができずに腰が高く、膝も曲がっていないことがわかると思います。
これは足の後ろ側にある大臀筋やハムストリングスという筋肉が弱い人に多く見られる特徴です。
これらの筋肉が弱くて機能しない状態だと、太もも前面の大腿四頭筋に負担がかかり、膝前面への過度なストレスになってしまいます。
次に片足スクワットのフォームです。
片足スクワットも両足同様に腰が高く、膝が曲げらませんが、同時に膝が内側に倒れてしまっています。
写真を見ると、膝が内側に入っているのがわかりやすいと思います。
これは大腿四頭筋の筋力不足で膝を支えることができていないことが考えられました。
このあと、意識的に膝を外に向けると痛みが減少したので、この膝の向きは痛みの原因の一つと考えることができました。
これらの特徴から、”大臀筋やハムストリングスの筋力不足により大腿四頭筋への負担が増加し、増加した負荷を大腿四頭筋の筋力では支えることができないため、膝が不安定になり崩れてしまっている”ことが膝の痛みの原因だと予想しました。
具体的な解説
大臀筋とハムストリングスの筋力不足により腰を下げられない、膝を曲げられない。
それにより上体は前方へと倒れてしまい、膝も同時に前に出過ぎてしまう。
同時に重心が前方に移動し、大腿四頭筋が優位に働く姿勢となり、大腿四頭筋への過度なストレスとなる。
また、大腿四頭筋自体も十分な筋力があるわけではないので、過剰な負荷を支えきれず膝が内側へ倒れてしまう。
不安定な膝を支えようとさらに大腿四頭筋が働き、大腿四頭筋の付着部である脛骨粗面へのストレスとなり痛みが発生していた。
Jくんの場合は痛みが出ている筋肉が痛みの直接的な原因ではなかったので、いくらストレッチだけを続けても痛みは改善しませんでした。
Lifelongでは以下のポイントに焦点を当てた運動療法に取り組んでいただきました。
- 大臀筋とハムストリングスの筋力強化
- 大腿四頭筋のイーセントリック収縮力強化
- 膝が内側に倒れないよう曲げる練習
- 膝を使いすぎないよう足首と股関節を使う練習
Lifelongに来るまでストレッチばかりやっていたこともあり、全身の筋力はかなり低下していました。
痛みが出ないように少しずつ運動の強度を上げて筋力をつけることを目標としてリハビリを開始。
最初はスクワットをするだけでも膝の痛みを感じていましたが、筋力がついて正しい動き方を覚えることで、1ヶ月以内に痛みなくジャンプができるようになりました。
そのまま継続して筋肉を鍛えながら、同時にサッカーに必要な片足動作、ジャンプ、切り返し、キック動作などを練習してからクラブチームの練習に復帰。
最終的には週に6回の練習にも痛みなく参加できるようになりました。
今後の目標
あとは筋肉をもっと強くしたい。
そうすればもっとフィジカルコンタクトができるし、もっと快適にプレーできると思う。
痛みに囚われることなく、次は選手としてより高いパフォーマンスを出せるようになり、上達できるよう引き続きサポートさせていただきます。
プロのスポーツトレーナーによる治療とリハビリを試されたい方は、ぜひ一度ご相談ください
他の改善事例はこちらからご覧になれます。