2024.04.06
インタビュー
『筋力をつけて痛みを解消、週2回40分の運動で』運動療法による膝内側部痛改善の感想
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。
Mさんは慢性的な膝内側部の痛みの相談に来られました。
数年前から膝に電気が走るような痛みを感じていて、様々な医療機関に行っても改善しませんでした。
整形外科や整体では「筋力をつけるように」と言われてジムに通ったりもしてみたけど、具体的にどの運動をすればいいのか、どこの筋肉を鍛えればいいのかわからないという状況でした。
膝の状態を確認させていただくと、確かに下半身の筋力は弱かったです。
しかし、実際に痛みが出る階段の上り下り動作を見てみると、膝が不安定なだけでなく、膝を曲げたときに内側に倒れてしまうことが痛みの原因になっていることがわかりました。
運動療法では下半身の全体的な筋力強化だけでなく、膝が内側に倒れないように支える外転筋や内転筋を集中的に鍛えました。
同時に、膝を真っ直ぐに出す動作や片足バランストレーニングなど、動作の改善も実施。
1週間に2回、1回あたり40分の運動でしたが、く3週間経つころには膝の痛みを感じなくなっていました。
そのまま健康増進目的でLifelongに通い続けていただき、趣味でテニスを始められるまで元気になられたMさんに運動療法の感想をお話しいただきました。
Mさん
- 数年前から両膝に痛み
- 病院や整体では改善せず
- 運動を勧められるも何をしていいかわからない
Lifelongの利用目的
整体や整形外科も行ったんですけど、筋力をつけることが一番早いと言われたのでジムを探していて、たまたまこちらで体験をして良かったので続けています。
病院や整体では膝に悪いところは見当たらず、筋力をつけるように言われたけど、具体的にどんな運動をすればいいのかわからないという状態でした。
確かに初回の無料相談で膝の状態を確認させていただいたときは、膝自体に損傷があるようには見えず、動き方が原因による機能的な痛みだと感じました。
Lifelongを選んだ理由
今までもジムに行ったりもしたんですけど、自分のやり方でするのではなくて、何が足らなくて何をしないといけないか、というのがはっきりしていたので、効果がやっぱりあると思ったのが一番です。
とりあえずバイクを漕いで、周りの人がやっているマシンを見よう見まねで試してみる、という運動方法だったようで、数ヶ月経過しても身体への変化は感じられなかったようです。
”運動は大事”ということを理解していても、自分の身体にはどんな運動が必要か?ということを知らない方がほとんどです。
運動では、一人一人の身体に適した運動を正しく行うことが重要です。
運動療法の感想
筋力がついたおかげで他のスポーツも始められるようになりました。
同じ運動をしても以前より楽に感じる、とMさんは楽しみながらトレーニングに励んでおられました。
慣れて簡単になった頃にはメニューを変えて、それも簡単になったらまたメニューを変えて、と気づかないうちに少しずつ運動が難しくなるようにメニューを調整するのがLifelongの特徴です。
そうすることで、身体にとって常に最適な運動負荷をかけることができ、慣れてしまって飽きることもありません。知らず知らずのうちに、身体の柔軟性や筋力が向上している、というメニュー作りを心がけています。
身体の痛み
整体などでも言われたんですけれども、筋力がないから支えてないと言われてて、やっぱりそれができてくると違うということを感じました。
リハビリでは単に膝周りの筋力を上げるだけでなく、膝を真っ直ぐ曲げ伸ばしする、片足で自分の身体を支えられるようにする、という動きの指導も行いました。
痛みを改善するだけでなく、”痛みが出てしまう原因の動き方”を改善し、再発防止まで行うことが非常に大切です。
Mさんは非常に早く運動の効果が現れ、1回40分の運動を週に2回、3週間ほど続けていただいた頃には膝に痛みを感じなくなっていました。
膝内側部痛の改善方法
MさんはLifelongに来られるまでに、整形外科や整体で治療を受けていました。
病院ではレントゲン検査なども受けられていたので、痛みの原因は組織的な損傷ではない可能性が高いと考えました。
痛みも数年に渡り続いていたので、炎症が起きていることは考えにくく、身体の機能的、構造的な原因による痛みだと結論づけました。
両足ともに筋力は低下していましたが、柔軟性は非常に高かったです。
圧痛などもなく、半月板へのテストも陰性。状態としては左右差はほとんどありませんでした。
実際に痛みを感じるという階段の上り下り動作を確認してみると、痛みのある左膝だけ足を持ち上げたときに内側に入るという特徴が見られました。
足を上げるとき、また足を着くときも膝が内側に入ってしまうので、足を着くたびに膝の内側に負担がかかり、痛みを引き起こしていました。
片足でのバランスも取りづらく、足がふらつくときは必ず膝が内側に入っていました。
これらの動作の特徴から、“膝を動かすたびに膝が内側に入り、関節内側に負担がかかることで痛みにつながっている”というのが痛みの原因と考えました。
具体的な解説
膝関節自体には問題はなく、筋力バランスと動き方が原因で膝内側部へのストレスが発生。
特に股関節外転筋(大臀筋・中臀筋)と内転筋の筋力低下が顕著。
階段を登る際の股関節屈曲動作では、左側だけ内転・内旋動作が無意識に起こるので、足を地面に着くたびに膝が内側に入り(ニーイン動作)、負担がかかっていた。
膝のお皿が正面を向くように真っ直ぐ足を出せたら痛みは出なかったので、意識的に膝を真っ直ぐ出すという動作の習得と、それに必要な筋肉の活性化が必要でした。
膝周辺の組織に問題はなかったので、整体で身体をほぐしてもらっても痛みの原因を取り除くことができなかったということです。
Lifelongでは以下のポイントに焦点を当てた運動療法に取り組んでいただきました。
- お尻、内ももの筋力強化
- 片足バランストレーニング
- 足を着くときに膝を真っ直ぐ着く
Mさんは下半身の筋力が低下していることは自覚されていましたが、左膝が内側に倒れやすいという動きの特徴は気づかれていませんでした。
そのため、最初は筋力強化と合わせて、”どの角度が膝にとって真っ直ぐか”を再学習してもらうための、動きの練習も行いました。
膝にとって正しい角度での動きを覚え直してもらうことで、膝を動かしても痛くない動かし方があることを知っていただき、その動き方を意識していれば日常生活でも痛みを感じることは少なくなっていきました。
徐々に筋力が向上して膝が安定するようになり、慣れてくると意識しなくても膝が内側に倒れることはなくなり、痛みも全く感じなくなるまで改善することができました。
今後の目標
今後もスポーツも楽しみながら筋力を維持できれば、年齢が重なっても怖くないような気がしています。
身体が動きやすくなるにつれて、何か身体を動かす趣味を始めてみよう、と毎週テニスに通われるようになりました。
来店当初、膝の痛みに悩まれていたところから、痛みの改善、筋力の強化、そして趣味でスポーツを始められるという、とても理想的な流れを見せていただきました。
これからも無理のない範囲で運動を継続いただき、身体を動かすことを楽しみながら、いつまでも健康な毎日を過ごしていただきたいです。
経験豊富な理学療法士による治療とリハビリを試されたい方は、ぜひ一度ご相談ください
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