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Case Study 症状別事例

2025.12.28

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアでも自転車は乗れる!通勤の注意点からロードバイク再開・フォーム調整まで全解説

執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)

ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。


腰椎椎間板ヘルニアになったら自転車に乗らない方がいいの?と聞かれることがありますが、腰や足に痛みや痺れを感じなければ自転車に乗っても大丈夫です。痛みや痺れなどの症状が出ないかぎりは、ヘルニアが悪化する可能性は低いためです。

ただし、自転車に乗る姿勢に気をつけなければ、ヘルニアを悪化させてしまう危険性があります痛みや痺れを感じた場合は、腰に負担がかかっているという証拠なので、自転車の調整や乗車時の姿勢を改善する必要があります。

この記事では、椎間板ヘルニアになっても、日常や通勤の移動手段として安全に自転車に乗り続けたいという人や、ロードバイクへの復帰を目指す方に役立つ内容になっています。

この記事でわかること
  • ヘルニアでも腰に負担をかけないサドル・ハンドルの高さ調整
  • ママチャリとロードバイク、それぞれの痛くない乗り方
  • ヘルニア再発を防ぎ、長く走り続けるための筋トレ・リハビリ方法

1.【基礎知識】椎間板ヘルニアで自転車に乗ると辛いのはなぜ?


椎間板ヘルニアの原因で最も多いのは、腰が丸まる前屈姿勢を繰り返すことです。

前屈を繰り返すことで腰椎の前部が圧迫され、椎間板の中心にある髄核という組織が後方に押し出され、腰椎の後ろにある神経に当たってしまうことで痛みや痺れといった症状が起こります。

自転車はハンドルがサドルより前にあるため、自然と腰が曲がる姿勢になってしまいます。そのため、自転車に乗っている間は常に腰が曲がり、腰部の神経を圧迫し続けてしまうので、ヘルニアの症状を感じやすくなります。

これらは、

  •  サドルが高すぎる
  •  サドルが低すぎる
  •  ハンドルが前すぎる

などの要因が関係してくるため、注意が必要です。

2. 【日常・通勤編】ヘルニアで自転車・ママチャリに乗るポイント

まずは、日常的に自転車を利用している方がヘルニアになってしまった場合について解説していきます。普段、自転車で通勤や、日常で自転車を使用している人がヘルニアになってしまった場合、通勤手段を変えるか迷う方も多いと思いますが、いくつかの対策をして、安全に自転車生活を送ることもできます。

①自転車のサドルの高さ

サドルの高さはヘルニアの人にとってとても大切です。ヘルニアの人が自転車に乗るときに気をつけなければいけないことは、腰に負担をかけないことです。特にヘルニアの人は背中を丸めたり、骨盤が後ろに傾くと痛みが出てしまうことが多いので、乗車時の姿勢には気をつけましょう。注意が必要です。

  • サドルが高すぎる

サドルが地面から離れすぎていると、腰が丸まりやすい姿勢になります。特にロードバイクのようにお尻の位置が高い自転車は、腰への負担が大きくなりやすいです。

  • サドルが低すぎる

逆にサドルが低すぎると、背中が丸まってしまって猫背になりやすくなります。サドルの低い自転車に乗るときは、背筋を伸ばすように心がけましょう。

② 自転車のハンドルの高さ

ハンドルの位置があまりに遠すぎると、腕を前に伸ばさなければいけなくなります。腕を伸ばすことで背中は丸くなり、骨盤は後ろに傾いてしますので、ヘルニアの痛みが出やすくなります。
ハンドルは、肘を軽く曲げて持てる位置が最適です。

③ヘルニアの人が通勤や日常利用でおすすめの自転車

腰椎椎間板ヘルニアの人が自転車を選ぶ際に気をつけたいのは、腰を曲げずに漕ぐことができるか?ということです。

ママチャリと呼ばれるタイプの自転車や、最近流行りのタイヤが小さくミニベロと呼ばれるスタイリッシュな自転車は、背筋を伸ばしやすいのでヘルニアの人にも向いている自転車です。
サドルを適切な高さに設定することで、背中や腰が丸くなるのを防ぎ、ヘルニアの症状が出にくい姿勢で自転車に乗ることができます。

通勤のために30分以上自転車に乗る人や、上り坂が多くて足腰に負担が多いという人は、通勤手段を変えたり電動のアシスト付き自転車を検討してもいいと思います。
現在スポーツ系の自転車に乗っていて腰に痛みを感じている人は、一般的な自転車に乗り換えると痛みが出なくなる可能性もあります。

3. 【スポーツ編】ヘルニアの人がロードバイク乗車・復帰に向けたポイント

次に、趣味やスポーツでロードバイクをしている人がヘルニアになった場合の復帰に向けた解説です。基本的な注意事項は同様にありますが、通常の自転車とは異なることやスポーツでの身体への負担も異なるため、適切なフォームやリハビリなどが必要になります。

①乗車時の姿勢

乗車時に特に注意したいポイントは、背筋を伸ばすことと骨盤を前傾させることです。

自転車に乗っているとどうしても背中が丸まりやすいので、背筋を伸ばした姿勢で自転車を漕ぐようにしましょう。特に長距離のロードレースに出場するような選手は、一時的ではなく長時間背筋を伸ばした状態を維持し続けることが大切です。
また、背筋を伸ばすように意識すると自然と胸を張りやすく、肩甲骨も引き寄せられるので、上半身がより安定するという、パフォーマンスにも良い影響が出ます。


骨盤の後傾も腰椎の屈曲を助長してしまい、椎間板ヘルニアを悪化させる原因になります。疲労が溜まってくると腹筋に力が入らなくなって骨盤が後傾しやすくなります。
レース中常に骨盤を前傾位に保つことができる腹筋力を鍛えるようにしましょう。

②ポジショニングの調整

クロスバイクやロードバイクといったスポーツタイプの自転車はサドルの位置が高いので、腰が曲がりやすくなってしまいます。腰を曲げたまま自転車に乗り続けると腰への負担がかかりやすいので、ヘルニアの人には注意が必要です。

スポーツタイプの自転車に乗る場合は、腰が丸くりすぎないようにサドルの位置を調整し、胸を張って背筋を伸ばしながら乗ることを意識しましょう。ハンドルは前に行くほど背中が丸まり安くなるので、必要以上に遠い位置にセッティングしないように注意しましょう。

③気をつけるべきポイント

他にもヘルニアの復帰に向けてロードバイクを乗車する際には、試合復帰までに少しずつ距離を伸ばす、いきなり全力を出さない、重いギアを踏みすぎない。など、自身の状態も考慮して、乗車してみてください。

4. 手術後いつから自転車に乗っていい?


椎間板ヘルニアの治療では手術を行うこともあります。ヘルニアの手術をしたからといって、自転車に乗れなくなるということはないので安心してください。では『いつから自転車に乗っていいか?』という質問を受けますが、これは人それぞれ異なります。

ヘルニアの手術方法はMED(内視鏡下腰椎椎間板摘出手術)やPELD(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出手術)など非常に多くの手術様式があるので、受けた手術によっても自転車に乗れる時期は変わってきます。

平均的には手術後2週間から1ヶ月経ってから自転車に乗れる人が多いです。

椎間板ヘルニア手術後の運動に関してはこちらの記事で解説しています。
>> 腰椎椎間板ヘルニアの手術後は、いつから運動していい?

5. 悪化させないための予防法とストレッチ・筋トレ

ヘルニアと診断されても自転車に乗ることは問題ありません。しかし、自転車に乗っているときの姿勢は、腰に負担をかけやすい姿勢でもあります。そのため、ヘルニアを悪化させないためにもストレッチや筋トレで予防を行うことが重要です。

①ヘルニア予防のストレッチ

ヘルニアの悪化を防ぐには、腰と骨盤についている筋肉の柔軟性を保つことが大切です。腰に痛みを感じないように、ゆっくりストレッチするようにしましょう。

ハムストリングスのストレッチ

足をまっすぐ伸ばし、股関節から曲げるように上体を倒して、つま先を持ちましょう。
伸ばしてる足の太もも裏側がストレッチされます。

腸腰筋のストレッチ

片膝を立て、逆足はうしろに伸ばします。
胸を張ったまま体重を前に移動させると、うしろ足の股関節前面が伸ばされます。

大胸筋のストレッチ

柱などに肘から手をくっつけて固定し、身体を前に倒します。
手を固定している側の胸筋がストレッチされます。

ヘルニア予防の筋トレ

腹筋やお尻の筋力が低下すると、腰椎への負担が増えてヘルニアを悪化させやすいです。普段から背骨を安定させる筋肉を鍛える習慣をつけて、ヘルニア予防に取り組んでください。

プランク

腹筋群のトレーニングです。自転車に長い時間乗ることが多いので、背中を真っ直ぐ伸ばした状態を保持できるようになるために効果的です。

肘とつま先を支点に、身体を一直線にキープします。お腹に力を入れて腰が曲がらないように気をつけましょう。最初は15秒、慣れてきたら30秒キープを目標に。

デッドバグ

腹筋群のトレーニングです。プランクと同様に、一般的な腹筋トレーニングとは違い、姿勢を保持するための腹筋の使い方を習得するためのトレーニングです。

あお向けになり、両手を天井に向けて伸ばした状態で足を交互に伸ばします。足を伸ばすときに腰が床から離れないようにしましょう。

ブリッジ

ハムストリングスのトレーニングです。肩と足を支点にしてお尻を持ち上げます。
お尻を上げたときに膝から肩までが一直線になっていると、上手にできています。

6. 腰椎椎間板ヘルニアのリハビリ

腰椎椎間板ヘルニアはリハビリによって改善する可能性が高い腰痛です。特に大切なのが、腰に負担をかけている原因を取り除くことです。

痛みのある腰をマッサージなどでほぐしても、根本的な痛みの原因は治らず、上記のようなストレッチ、筋トレを自身の身体の状態に合わせて取り入れる運動療法によって鍛え直すことが、改善への第一歩です。

Lifelongでは腰椎椎間板ヘルニアのリハビリのポイントも解説しています。詳しくはこちらをご覧ください。
>> 腰椎椎間板ヘルニアのリハビリテーション

7. 椎間板ヘルニアでも対策と予防で自転車を楽しもう!

  •  腰椎椎間板ヘルニアでも自転車には乗っていい
  •  自転車に乗るときは腰が丸くならないように注意する
  •  ヘルニアを悪化させないために予防を行う

椎間板ヘルニアになっても、大事なポイントに注意すれば安全に自転車に乗ることができます。

通勤や買い物で自転車が使えないと不便になる人は多いと思うので、ヘルニアと上手く付き合いながら自転車を使いましょう。

特にヘルニアを悪化させないための予防は大切なので、1日10分でも簡単にできるストレッチや筋トレを取り入れるように心がけてください。

腰椎椎間板ヘルニアの治療やリハビリについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご参考ください。

 

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