2021.12.05
肩こり
右だけ?左だけ?片方だけの肩こりの原因と対処法
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。
肩こりでお悩みの人の中には、右肩だけ、もしくは左肩だけ痛みのある人がいます。
痛みの強さが左右で違う人は多いですが、どちらか一方の肩だけが凝るのは珍しいです。
片方の肩だけ肩こりになるのはどのような原因が考えられ、どう対処すれば良いのでしょうか?
この記事では片側だけの肩こりの原因から対処法まで丁寧に紹介しています。
記事の内容
- 片方だけ肩が凝る原因
- 肩こりと筋肉の関係
- 片方だけの肩こり解消法
- 病気の危険性
片側だけの肩こりに限らず、肩こりを改善するための情報が必要な人はこちらの記事をご参考ください。
片方だけ肩が凝る原因は?
片方の肩だけに痛みがあったり、痛みの強さに左右差があったりする場合は、身体のバランスが崩れている可能性が考えられます。
そもそも、肩こりの原因で最も多いのは姿勢の悪さです。
猫背や首が前に出るストレートネックによって、首と肩の筋肉に負担がかかり、緊張することで痛みが出てしまいます。
左右で痛みの強さが異なるときは、痛みの強い方により大きな負担がかかっていると言えます。
例えば、右肩よりも左肩の痛みが強いときや、左肩だけに肩こりを感じるときは、左肩の筋肉がより緊張している状態です。
片方だけの肩こり
➡︎ 左右差のバランスが崩れている
それでは、なぜ左右の肩にかかる負担が違うのでしょうか?
考えられる原因を4つ紹介します。
筋肉の短縮と伸長
筋肉は伸びたり縮んだりする軟部組織です。筋肉は左右対称に付いているので、片方が伸びるともう片方は縮むようになっています。
例えば頭を右に倒すと、左肩の筋肉は伸ばされて右肩の筋肉は縮むことがわかると思います。
逆側に頭を倒すと、伸び縮みする筋肉も逆になります。
首と肩には多くの筋肉がついており、それぞれの筋肉がバランスよく働くことで頭が支えられています。しかし、筋肉の硬さや柔軟性に左右差があるとバランスが崩れ、片方の肩だけに負担がかかってしまい、痛みが出てしまいます。
姿勢の左右差
日常生活の姿勢も片方だけの肩こりの原因となりえます。
例えば、椅子に座っている時に毎回同じ手で頬杖を付いていると、肩の筋肉にかかる力に差ができてしまいます。
右手で頬杖をついた時は、頭が右側に倒れ、左肩の筋肉は伸ばされた状態になります。
普段からどちらか一方の肩に負担がかかりやすい姿勢をしていると、片方の肩だけが凝りやすくなります。
利き手
利き手側の肩はどうしても凝りやすいです。
何かを持ち上げたりするときに、無意識に使うのは利き手だと思います。筋肉は使えば使うほど発達しますが、同時に緊張しやすく、疲労も溜まりやすいです。
利き手ばかり使っていると、利き手側の肩だけが肩こりになってしまいます。
生活環境
日常生活でよく使うものや、設備の位置によっても片側の肩だけが凝ってしまうことがあります。実際の患者さんでよく見る例はパソコンの置き場所です。
ある肩こり患者さんの話を聞いていると、1日8時間のデスクワークをしているそうですが、パソコンが正面ではなく、やや右側に置いてあると言っていました。
正面より右側に置いてあるということは、仕事中の8時間は常に首が右を向いているということです。このような左右非対称の姿勢を長時間続けていると、片方の肩により大きな負担がかかり、片側だけの肩こりになってしまいます。
片方の肩だけ凝ってしまったときの対処法
もし片方の肩だけ肩こりになってしまったときは、どの方に対処すればいいのでしょうか?
改善方は大きく2つあります。
身体の左右差を整える
右だけ、左だけの肩こりを治すために1番大切なことは、身体自体の左右差をなくすことです。普段の姿勢や利き手の影響など、片方の肩に負担が掛かってしまうこともあると思いますが、できるだけ左右対称的な姿勢で過ごすようにしましょう。
すでに片方だけの肩こりにお困りの方は、首と肩の筋肉に左右差がないか確認してみてください。
首を左右に倒す、左右に回す、両肩とも真っ直ぐ上に挙げられるか、など関節の可動域や痛みの強さに左右差があればすぐに解消したほうがいいです。
硬くなった筋肉はストレッチで緩め、筋力に差がある場合は筋トレで鍛えてあげましょう。
エルゴノミクス
エルゴノミクスとは、理学療法用語で”生活環境を整える”という意味があります。
具体的にどのようなことかと言うと、パソコンを自分の右ではなく正面に置くなど、普段の生活で身体に負担がかからないように身の回りの環境を調整することをエルゴノミクスといいます。
先ほど、パソコンが自分の右側にあることが原因で右肩だけの凝りに悩まされている人を例として紹介しました。この方を治療するときに、どれだけ身体のバランスを整えたとしても、1日8時間使っているパソコンの位置を右から正面に戻さない限り肩こりの改善は難しいです。
このように、肩こりの身体を治療するのではなく、仕事や生活環境を整えることも肩こり解消に大事な要素となります。
片方だけの肩こりは病気のサイン?
インターネットやテレビ番組の情報の中には、片方だけの肩こりが病気のサインだった、という内容も見つけることができます。
これらの話は実際に起きた話のはずなので、気をつける必要はあると思いますが、非常に稀なケースではあります。なので、片側だけの肩こり=病気とは考えなくても大丈夫です。
片側だけの肩こりになってしまったら、まずはストレッチや筋トレから改善を目指し、肩こりの状態がよくならず、痛みが増えるようであれば医療機関に相談していただければと思います。
まとめ
右だけ、左だけの肩こりの原因は、身体のバランスが崩れている可能性が高いです。
首と肩の筋肉に左右差がないか?
利き手ばかり使っていないか?
生活環境で身体の片側だけに負担がかかっていないか?
という基本的な部分をまずは確認し、肩こりが改善せずに痛みが増えるようであれば、迷わず医療機関に相談してください。
肩こりは生活習慣と姿勢が主な原因なので、まずは筋トレやストレッチに取り組んで、身体の左右差を改善してみてください。
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