2024.09.07
人工股関節
人工股関節の手術を受けるタイミングは?
執筆大澤 亮(理学療法士)
有名なスポーツ整形外科で主に手術直後のリハビリを担当。病院で培った臨床技術を活かし、ジュニアアスリートから高齢者の運動愛好家まで幅広い年代のリハビリを得意とする。自身のスポーツ歴は野球、バスケ、カヌー。
変形性股関節症に悩まれる方の多くは人工股関節置換術人をする決断に悩まれているのではないでしょうか。
変形性股関節症の方が病院に通われていると必ず人工股関節についての話が出ます。
進行した変形性股関節症には人工股関節置換術がスタンダードな治療法になっているからです。
しかし、人工関節を入れる手術をすることは、患者さん本人にとってはとても大きな決断になります。
この記事では、人工股関節を判断するためのいくつかのポイントを紹介しています。
ぜひ、考えの参考にお使いください。
人工股関節置換術とは
人工股関節置換術とは変形性股関節症によって変形した関節を人工関節に置換する治療法のことです。
変形性股関節症で関節軟骨が摩耗し、関節が変形することで痛みが生じます。
摩耗した軟骨や、変形した関節は再生することが難しいため、人工の関節に置換することで痛みを取り除きます。
人工関節置換術を検討するタイミング
人工股関節には寿命があることや大きな手術を伴うことから、手術を検討するタイミングが重要です。
人工股関節を検討するタイミングには、主に以下の状況で考えられます。
レントゲンやMRIでの関節状態
人工股関節の検討にあたって重要な要素として、レントゲンやMRIなどの画像初見はとても重要です。
変形性股関節症は進行度によって4つに分類されています。
前期股関節症
寛骨臼形成不全など股関節形成に異常がみられますが、関節軟骨はまだ保たれています。
この時期は長時間歩くと足がだるい、疲れ易いなどの症状があります。
初期股関節症
関節軟骨が磨耗して関節の隙間が狭くなりはじめた時期です。
この時期には筋力強化などのリハビリテーション治療が必要です。
進行期股関節症
関節軟骨が広範囲に変性、磨耗して関節の隙間が明らかに狭くなります。
この頃になると骨のトゲ(骨棘)ができて変形はかなり進行しています。
人工関節置換術の適応が多くなります。
この頃にはしゃがみこみが困難になったり、動作時の痛み・歩行時痛がとれなくなります。
末期股関節症
関節軟骨が完全に消失し関節のすきまがなくなります。
この頃になると、関節周囲の骨のトゲ(骨棘)が大きくなったりして関節変形は進行していきます。
進行すると安静時の痛みが出現し、日常生活動作にも支障がでるようになります。
治療としては主に人工股関節置換術を行います。
これらの分類の3~4になると人工股関節の適応となり、進められることが多くなります。
痛みの持続
痛みも手術を検討する重要な要素です。
休息や薬物療法、リハビリなどの治療方法を試しても、日常生活に支障をきたすほどの痛みが持続している場合は手術を考えてもいいかもしれません。
関節可動域制限
可動域の悪化も手術を検討するに際には重要な指標です。
股関節が硬くなり、動きが制限されることで、歩行や立ち上がりが難しくなっている場合や、日常生活を行うことも困難な場合は手術を検討してもいいかもしれません。
生活の質の低下
痛みや可動域の制限により、日常活動が困難になり、生活の質が著しく低下している場合。
趣味やスポーツ活動が満足に行うことができない場合など、生活を送る上で股関節が悪影響を及ぼしている場合も、手術を検討するタイミングです。
年齢での判断
変形性股関節症は完治することは難しい進行生の疾患です。
治療法として最終的には人工股関節が選択肢となります。
しかし、人工股関節には寿命があり、15~20年程度と言われています。
人工股関節を早くにしてしまうと再置換をしないといけないことになってしまうかもしれません。
年齢は人工股関節の決断に大きな要因となります。
まとめ
最終的な決定は、医師との相談の上で行われます。
人工股関節手術は大きな決断ですが、多くの場合、術後の生活の質が大幅に改善されることが期待できます。
もし、今感じている痛みや不便さが手術に踏み切るべき時期かどうか迷っている場合は、専門家に相談し、診断と治療計画を立てるのがことが大切です。
変形性股関節症・人工股関節置換術についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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