2023.09.22
腰椎椎間板ヘルニア
20代の椎間板ヘルニアは高齢者よりも多い!ヘルニアの原因と治療法も合わせて紹介。
執筆中尾 優作(理学療法士/プロスポーツトレーナー)
ヨーロッパの大学、大学院で理学療法を学ぶ。欧州サッカー、日本のB.LEAGUEでトレーナーとして活動したのち、地元神戸三宮にメディカルフィットネスジム【Lifelong】を設立。トップアスリートを始め、"病院で治らない痛み"に悩む人にワンランク上のリハビリを提供する。
20代でも椎間板ヘルニアになるの?と疑問に思われる方がいると思いますが、20代でヘルニアになる人はかなり多いです。
スウェーデンから発表された論文では、20代のヘルニアは60代のヘルニアよりも多いことが報告されています。
この記事では20代で椎間板ヘルニアにならないために注意することや、ヘルニアになったときの治療法を紹介しています。
記事の内容
- なぜ20代で椎間板ヘルニアになるの?
- 椎間板ヘルニアを予防するためには?
- 椎間板ヘルニアになったときの治療法
若いうちから椎間板ヘルニアになりたくない、ヘルニアになってしまったので早く改善したいという方の役に立つ記事となっています。
なぜ20代でも椎間板ヘルニアになるの?
先ほども紹介しましたが、スウェーデンで発表された論文では1021人の椎間板ヘルニア患者の年齢分布が報告されています。
この研究結果によると、椎間板ヘルニアの平均年齢は43歳で、高齢者よりは若者により多いことがわかりました。
腰痛は高齢者の病気というイメージが強いかも知れませんが、椎間板ヘルニアに関しては20代でも非常に多くの患者が存在しています。
20代が椎間板ヘルニアになる原因は?
それではなぜ若者が椎間板ヘルニアになってしまうのでしょうか?
まず初めに椎間板ヘルニアについて簡単に説明しておきます。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、背骨の間にある”椎間板”という組織の病気です。
日常生活や姿勢によって腰に負担がかかることで、椎間板の中にある髄核という部分が椎間板の外に出てしまい、周りの組織や神経を圧迫してしまいます。
高齢になると椎間板の老化によってヘルニアになりやすくなりますが、ヘルニア1番の原因は腰への度重なるストレスです。
そのため、若いからといってヘルニアになりにくいわけではありません。
20代の若い人が椎間板ヘルニアになるのは、私生活での運動量とスポーツ活動が主な原因の一つと考えられます。
- 私生活での運動量
- スポーツ活動
生活における運動量
20代の人は高齢者に比べて普段の運動量が多いです。
当然ですが、年齢が若い分仕事や趣味で身体を動かす頻度は増えると思います。
椎間板ヘルニアの主な原因は腰への負荷なので、私生活での運動量が多いほど腰への負担も増加し、ヘルニアになるやすくなります。
近年の健康ブームによってジムでトレーニングを始める人が増えてきましたが、不適切なフォームでトレーニングしてしまい、ヘルニアになってしまった人も多く見られます。
スポーツ活動
趣味や仕事でスポーツを行う人も、高齢者よりは若者が多いです。
スポーツ動作は日常生活の動作よりも運動強度が高いので、腰への負担も大きくなってしまいます。
特に競技によっては前屈みの姿勢になりやすく、椎間板にストレスがかかる姿勢になってしまうこともあります。
椎間板ヘルニアを予防するためには?
20代でも多く見られる椎間板ヘルニアは、どのように予防すればいいのでしょうか?
気をつけるポイントは、前屈みの姿勢とハムストリングスの柔軟性です。
ヘルニア予防のポイント
- 前屈みの姿勢
- ハムストリングスの柔軟性
前屈みの姿勢
椎間板に最もストレスがかかりやすいのは前屈みの姿勢です。
腰を丸めて前屈すると、椎間板の前面が圧迫されてしまいます。
この椎間板への圧迫を防ぐために注意することは”股関節を曲げる”ということです。
股関節を曲げて身体を前屈させることで、腰椎が必要以上に動いて椎間板を圧迫することを防いでくれます。
また、前屈みになるときに少し胸を張り、背筋を伸ばすことも椎間板への圧力を軽減させてくれます。
ハムストリングスの柔軟性
ハムストリングスとは、太ももの裏側についている大きな筋肉です。
この筋肉は膝を曲げ、股関節を後ろに伸ばす働きがあります。
ハムストリングスは膝の裏から骨盤にくっついているので、この筋肉が硬くなると骨盤が後ろ向きに傾いてしまいます。(後傾)
骨盤が後継すると腰が丸まってしまうので、ヘルニアになりやすい姿勢になります。
なので、ハムストリングスの柔軟性を保つことは、骨盤の後傾を防ぎ、ヘルニアを予防する効果があります。
ハムストリングスは床に座りながら簡単にストレッチできるので、テレビを見ながらでもやってみてください。
20代で椎間板ヘルニアになったときの治療法
20代で椎間板ヘルニアになってしまったときは、症状を長引かせないことが何より大切です。
ヘルニアは正しい治療とリハビリを行わないと、後遺症が残りやすく、悪化すると手術を受ける必要もあります。
症状が軽いうちに痛みが出なくなるように、しっかりと治しましょう。
ヘルニアに効果的な治療方法は筋トレとストレッチです。
ヘルニアの治療法
- 筋トレ
- ストレッチ
椎間板ヘルニアに効果的な筋トレ
椎間板ヘルニアは人によって症状や原因がバラバラなので、”この筋トレをやれば治る”と断言することができません。
しかし、ほとんどのヘルニア患者に効果的な筋トレはプランクです。
プランクで腹圧を高めると背骨がより安定するので、椎間板への負担を軽減させることができます。
まずはプランクの姿勢を20秒キープ×3セットから始めてみましょう。
椎間板ヘルニアに効果的なストレッチ
先ほども説明しましたが、身体の後ろ側にある筋肉が硬くなると骨盤が後傾してしまい、椎間板への負担が増加します。
既に紹介したハムストリングスのストレッチに加えて、同じように硬くなりやすい大臀筋のストレッチも合わせて行うようにしましょう。
どちらのストレッチも30秒キープ×3セット行うといいでしょう。
腰椎椎間板ヘルニアのリハビリについては、こちらをご覧ください。
>> 腰椎椎間板ヘルニアのリハビリテーション
20代でもヘルニアを手術する可能性は?
椎間板ヘルニアが悪化したり、長期間改善がみられない場合は手術を勧められることがあります。
手術は高齢者に限らず、20代の若者にも行われることがあります。
しかし、ヘルニアの手術は効果の個人差が非常に大きいので、できることなら避けるほうがいいと思います。
手術を受けなくて済むように、筋トレとストレッチで腰にかかっている負荷を減らすことが大切です。
まとめ
- 20代でも椎間板ヘルニアになる
- 20代の方が60代よりも椎間板ヘルニア患者が多い
- 椎間板ヘルニアの予防には姿勢の改善ともも裏の柔軟性が大切
- 椎間板ヘルニアの治療は筋トレとストレッチが効果的
- 悪化すると手術になるので、早めの対処が重要
椎間板ヘルニアは20代のような若者にも多くみられる病気です。
正しく治さなければ後遺症が残ったり、最悪の場合は手術を受けなければいけません。
そうならないためにも、早めに治療とリハビリを行って症状を改善することが大切です。
腰椎椎間板ヘルニアについてより詳しい情報をお探しの方はこちらのページにまとめてあります。
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